Home最新情報(FB版)パグウォッシュ会議についてリンク集連絡先
News

第55回パグウォッシュ会議年次大会へのメッセージ

コフィ・アナン 国連事務総長
2005年7月22日

広島・長崎被爆60周年にあたり考えることは、私たちすべてが「ヒバクシャ」であるということだ。全員で哀悼の意を示そう。私たちのコミットメントを思いだそう。そして、未来のために決意しよう。

1945年8月6日と9日、広島と長崎の上空で原子核が分裂したとき、10万人以上の男女・子供達が一瞬のうちに殺戮されたことに、私たちは皆心を痛めなければいけない。さらに、20万人以上の男女・子供達が、恐ろしい不治の病に苦しまなければならなくなったのである。人類がまだ語られたことのない破壊と苦しみが、無実の人々の上にふりかかったのである。

今、思い返してみると、1945年8月を機に国際政治は永遠に変わってしまったことを私たちは理解しておかなければならない。わずか数分の間に人類が完全に殲(せん)滅してしまうという恐怖の時代に入ったのである。しかし一方で、我々は国連という希望のもとに相互依存の時代を迎え入れた。広島・長崎の恐怖と国連を創設した熱望との関係は、すぐに明らかになった。国連総会は、その最初の決議で、私たちの共通目標が「大量破壊に適用可能な」すべての武器を廃絶することにある、と宣言したのであった。

この最初の決議は、国連創設者にとってもそうであったように、私たちに伝えられたものよりも明るい未来を次世代の子供達に伝えたい、という希望そのものである。国連憲章に描かれている未来、それは「より自由な」未来、を我々は築き上げなければいけないし、またそれは可能だ。また、核の恐怖から解放され、究極的には核兵器そのものも廃絶された世界を作り上げていくために、努力を続けなければいけないし、またそれも可能だろう。すべての国家は、広島・長崎の恐怖がどこのどの人々にも決して再来しないよう、あらゆる努力を尽くすべきである。核軍縮と不拡散を推進する義務は、単に法的、道徳的なものでもなく、また賢明さでもない。それは、私たちの存在自体に伴う義務なのである。この9月、前例のないほど数多くの国家指導者が国連に集結する。私は彼らに訴える。過去を忘れないようにしよう。私たちの義務を思いだそう。そして、次世代の人々のために、その義務を実行する勇気を持とう。

(翻訳:日本パグウォッシュ会議)

Top