<解説>
平らなガラス板の片面に、たくさんの平行な溝を等間隔に刻んだものを 回折格子と言います。この回折格子に垂直に光を入射した場合について考えて みましょう。溝の部分に入射した光は、溝によってさまざまな方向に反射・ 屈折されてしまうので、溝と溝の間の平面部分がちょうどスリットの役割を 果たします。以下ではこの平面に入って来た光に注目します。これらの光は、 隣り合う平面と平面の間隔や、通り抜ける方向の平面に対する角度によって、 経路差を持ちます。この経路差のために、観測される光は強め合う点と弱め合う 点を持つ事がわかります。
スリットとスリットの間隔をdとして、回折された光が出て行く方向をθとする
と、波長λの光が回折格子によって強め合うための条件は、次の式で与えられます。
d sin(θ) = m λ (m = 0,1,2,3,…)
以下の視点で教材を眺めましょう。
case 1:ここでは入射光の組成(赤・青・緑色のそれぞれの色の混ざり
具合)をいろいろと変化させて、どのような干渉パターンが生じるかを観察
しましょう。
case 2 :光の色と干渉パターンの比較から、可視光の波長とその見え方
の特徴(空の青や夕日の赤等々)について考えてみましょう。
以下の問題を考えましょう。
q 1:今回は光を使った干渉実験でしたが、入射するものが波ではなく、
小さな粒子だった場合には、どのような結果が得られるでしょう。
q 2:身の回りで観察される回折現象(テレビ塔の存在やトンネル内での
ラジオの聞こえ方等々)について調べ、その起こりやすさや起こるための条件
を考えて、今回得られた強め合うための条件式と比較してみましょう。