TQFT 2024 Abstracts
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- Kong Yuk Kei (名古屋大学)
--- Neutron star matter based on a parity doublet model including the $a_0$(980) meson, Neutron star matter based on a parity doublet model including the $a_0$(980) meson
We study the effect of the isovector-scalar meson $a_0$(980) on the properties of nuclear matter and the neutron star (NS) matter by constructing a parity doublet model with including the $a_0$ meson based on the chiral SU(2)$_L\times$SU(2)$_R$ symmetry.
We also include the $\omega$-$\rho$ mixing contribution to adjust the slope parameter at the saturation.
We find that, when the chiral invariant mass of nucleon $m_0$ is smaller than about $800$\,MeV, the existence of $a_0$(980) enlarges the symmetry energy by strengthening the repulsive $\rho$ meson coupling. On the other hand, for large $m_0$ where the Yukawa coupling of $a_0$(980) to nucleon is small, the symmetry energy is reduced by the effect of $\omega$-$\rho$ mixing.
We then construct the equation of state (EoS) of a neutron star matter to obtain the mass-radius relation of NS.
We find that, in most choices of $m_0$, the existence of $a_0$(980) stiffens the EoS and makes the radius of NS larger.
We then constrain the chiral invariant mass of nucleon from the observational data of NS, and find that $580 \,\text{ MeV} \lesssim m_0 \lesssim 860 \,\text{ MeV} $ for $L_0=57.7$ MeV.
- 米田 守重 (愛知工科大学)
--- 変形Villain定式化による双対変換とフラクトン系への応用, Dual transformations by modified Villain formulation and their application to fracton systems
- 新名 宏太朗 (京大基研)
--- Probing de Sitter Space Using CFT States, Probing de Sitter Space Using CFT States
In this talk we construct CFT states dual to local excitations in the three-dimensional de Sitter space (dS), called the bulk local states. We find that the conjugation operation in dS3/CFT2 is notably different from that in AdS3/CFT2. This requires us to combine two bulk local states constructed out of different primary states in a CPT-invariant way. This analysis explains why Green's functions in the dS Euclidean vacuum cannot simply be obtained from the Wick rotation of those in AdS. We also argue that this characteristic feature explains the emergence of time coordinate from the dual Euclidean CFT. We show that the information metric for the quantum estimation of bulk coordinate values replicates the de Sitter space metric.
- 黒川 優輝 (東大情理)
--- ボース・アインシュタイン凝縮体を用いた量子リザバーコンピューティング, Quantum Reservoir Computing using Bose-Einstein Condensate
近年注目されている機械学習の手法として物理系をリザバーと呼ばれる非線形変換やメモリーの役割として利用する物理リザバーコンピューティングというものがある。本研究ではボース・アインシュタイン凝縮体を用いて数値計算により量子リザバーコンピューティングを行なった。冷却原子系を想定し、理想的な孤立系や減衰の生じる有限温度系などで比較検証を行った結果、物理系をリザバーとして用いる際には減衰が必要であることが分かった。
- 柿元 健佑 (早稲田大学大学院基幹理工学研究科電子物理システム学専攻)
--- 3次元調和トラップにおけるFermi超流動体のHiggsモードの解析, Analyzing Higgs mode of Fermi Superfluids in 3-D harmonic trap
Fermi超流動ではゼロモードやHiggsモードなどの低励起モードが現れることが知られており、一様系ではその性質が詳細に議論されている。一方、トラップが存在する冷却原子系のような非一様系では空間分布を取り入れた解析が必要である。そこで、本発表では調和トラップにより捕捉された冷却Fermi凝縮系を想定し、基底状態分布を数値的に求める。さらに、その揺らぎの方程式を導出の上、この方程式を数値的に解いた結果を報告する。
- 川本 大志 (京大基研)
--- Finite Scaling of Eigenstate Thermalization from Black Hole Horizon, Title: Finite Scaling of Eigenstate Thermalization from Black Hole Horizon
The eigenstate thermalization hypothesis (ETH) provides a sufficient condition for thermalization and equilibration from any initial states in isolated systems with a large number of degrees of freedom. One part of this statement is that for large systems, the diagonal matrix elements of typical observables in the Hamiltonian eigenstate basis, that is, the expectation values of the energy eigenstates, depend smoothly on the corresponding energy values. This statement is highly related to the fact that the variance of the energy eigenstate expectation values is small. Indeed, it is conjectured that this variance shows power-law decay with respect to the Hilbert space dimension.
On the other hand, in general relativity, it is expected that heavy objects undergo gravitational collapse. Additionally, it is known that gravitational systems with black holes exhibit maximally chaotic properties. By using the holographic principle, or specifically the AdS/CFT correspondence, these facts imply that holographic theories dual to higher-dimensional Einstein gravity will show chaotic behavior and also thermalization from high-energy states. Thus, we expect that holographic theories exhibit ETH, although there is no definitive proof for this.
In this talk, we discuss that the variance of the eigenstate expectation values of primary and descendant operators shows power-law decay with respect to the Hilbert space dimension. This fact is derived from the quantum mixing properties of holographic theories with black hole gravitational duals. We also discuss the consequences of this scaling on thermalization.
Especially for the GFF with mixing property we find thermalization from any initial states.
This talk is based on work in progress.
- 末永 大輝 (名大KMI)
--- カイラルパートナーが導く高密度物質中の音速ピーク構造: 2カラーQCD線形シグマ模型による解析, Sound velocity peak in dense matter induced by chiral partners: Linear sigma model analysis in two-color QCD
低温・有限密度系での2カラーQCDの格子シミュレーションにおいて、音速が相対論的極限のc_s^2=1/3を超えてピーク構造を持つことが示された。高密度極限ではc_s^2=1/3に収束するため、この事実は音速がピーク構造を持つことを意味する。一方、2カラーQCDの低エネルギーモード(NGモード)のみを取り入れたカイラル摂動論では、音速は単調増加するという予言のみを与えていた。本研究では、NGモードとそのカイラルパートナーモードを取り入れた線形シグマ模型を用いて、カイラルパートナーの寄与により音速のピーク構造が再現可能であることを解明した。この事実は、有限密度系におけるChPTを超えた有効理論として、カイラルパートナーを取り入れた線形シグマ模型の有用性を示す、重要な示唆とも理解される。
- 大島 理樹 (佐賀大理工)
--- 体積排除効果およびポリヤコフループを導入したハイブリッド模型, Hybrid model with excluded volume effects and the Polyakov-loop
ハドロン物質やクォーク物質における物理的描像の詳細を理解するためには、格子QCD計算を幅広い温度領域で再現するような現象論模型の構築が必須である。前提として、体積排除効果を導入したハドロン共鳴ガス(HRG)模型は、格子QCD計算の低温側を上手く再現することが分かっている。また、閉じこめ転移やカイラル転移を議論可能な、Polyakov-loop extended Nambu–Jona-Lasinio(PNJL)模型は、高温側をよく再現する。本研究では、このような両者を、自然な仮定の下で接続した、クォーク・ハドロン双対性に基づいた模型を考案する。まずは、ゼロ化学ポテンシャルにおいて、Polyakov-loop・圧力・構成子クォーク質量の温度依存性などを計算し、格子QCD計算との比較を行う。余力があれば、格子QCD計算で符号問題が発生しないことが知られている、虚数化学ポテンシャル領域における模型計算も紹介したい。成功すれば、解析接続などを通して、実有限密度領域のQCDのクリアな理解に繋がると期待している。
- 中村 真 (中央大学)
--- Proper Effective Temperature of Nonequilibrium Steady States in Holographic Models, Proper Effective Temperature of Nonequilibrium Steady States in Holographic Models
熱浴と接しながら外力でドライブされる部分系は、定常状態を保ちながらも熱平衡から離れた非平衡定常状態となる場合がある。この非平衡定常状態において揺らぎと散逸の関係から定義される有効温度は、一般に熱浴の温度とは異なる。本研究ではSU(2)の大域対称性が自発的に破れる2+1次元の場の理論の系を記述するD3-D5模型において非平衡定常状態を構成し、その振る舞いをゲージ・重力対応を用いて解析した。2+1次元の場の理論は3+1次元の熱浴中を運動するdefect上で定義されるが、本研究では、このdefectの運動に伴う相対論的効果を加味した「固有有効温度(proper effective temperature)」を定義すると、系の秩序変数の固有有効温度依存性が、熱平衡状態における秩序変数の熱浴温度依存性と類似の振る舞いを示すことが分かった。この結果は、「非平衡定常状態は熱平衡状態とどこまで異なり、何が共通なのか」といった基本的な問いを投げかけるものである。発表ではこの詳細について報告する。
- 松田 智裕 (埼玉工大)
--- 定常的な粒子生成を多様体上に定義する方法, How to define static particle production on manifolds
「定常的な非摂動論的粒子生成」であるUnruh効果はUnruh-DeWitt観測器に熱浴を感じさせる。これは「加速する観測者のMoving Frame」をフレーム束上の切断として定義し、局所慣性系でストークス現象を解くことにより説明できる。同様に、ゲージの自由度をバンドルで用意すれば、全く同じ手法でSchwinger効果が得られる。ファイバーと束を使用することで、これまでの計算で何が失われて何が付けたされたのかを明らかにできる。
- 三浦 憂 (京大基研)
--- SO(2N)を持つ𝑁体力ハバード模型とその有効理論, The N-body force Hubbard Model with SO(2N) Symmetry and Its Effective Theory
我々は、 N体相互作用をするハバード模型の拡張を提案する。この模型はマヨラナフェル
ミオンで記述することで、隠れたSO(2N)対称性を持つことが明らかになる。特に2𝑁 = 4で、
SO(4)対称性を持つ場合は通常の半充填ハバード模型に帰着し、マヨラナフェルミオンによ
る表示によって、ハバード模型が持つ隠れたSO(4)対称性が明白になる。我々はこの模型を、
高い対称性を用いつつ、特に 1 次元での場合で、弱結合領域と強結合領域での基底状態と
低エネルギー励起を調べる。
弱結合領域では、2N = 4で、通常のハバード模型に帰着する場合のモット相転移を除き、
相互作用は irrelevant で基本的に効かず、ギャップレスで中心電荷c=Nの共形場理論で
記述される。
一方で、強結合領域は、対称性の群SO(2N)のワイルスピノール表現の多様性を反映し、
Nに応じて物理が変化することが予想される。2N = 4で通常のハバード模型に帰着する場
合は、いわゆるスピン電荷分離が起きる。一方で、 2 次摂動により導出される強結合領域で
の有効理論は、ワイルスピノール表現のハイゼンベルグ模型になるが、このハイゼンベル
グ模型の解析により、2N = 6の場合はギャップレスに、2N = 8の場合はダイマー秩序によ
ってギャップが開くことを明らかにした。これらの結果は、SO(6)とSU(4)のリー代数の偶
然同型や、SO(8)のトライアリティという数学的現象が反映されたものである。
- 三浦 大輝 (新潟大学)
--- 強磁場中の1パイ中間子交換力, One-pion exchange potential in a strong magnetic field
強磁場中におけるQCD物質の性質は、相対論的重イオン衝突やマグネターの物理との関連性から注目を集めている。例えば、ハドロンの質量スペクトルやQCD相図など、磁場の効果は一体問題でも多体問題でも盛んに研究されている。一方、最近の格子QCDやフェムトスコピーの進歩により、ハドロン-ハドロン相互作用のより直接的な研究が可能になった。このような進展を考えると、強磁場下でのハドロン-ハドロン相互作用を調べることは、今まさにタイムリーである。
本研究では、強磁場が核力の長距離的成分である1パイ中間子交換力にどのような影響を与えるかを磁場中のカイラル摂動理論に基づいて解析する。そして陽子-中性子間のポテンシャルが変化し、荷電パイ中間子交換による異方性を獲得することを示す。
- 尹 強 (九州大学)
--- 有限温度でのユークリッド古典解と自由エネルギーの鞍点近似, Euclidean Classical Solutions and Saddle Point Approximation of Free Energy at Finite Temperature
- 岩崎 愛一 (二松学舎大)
--- 量子ホール効果を用いたアクシオン探査, axion search with quantum Hall effect
アクシオン探査は様々な物性を用いて行われている。ここで紹介する量子ホール効果を用いたものは、世界で初めてである。よく知られたように、2次元電子系に強磁場をかけるとホール抵抗は量子化される。磁場を変化させると、量子化された値は、他の量子化された値へと遷移する。いわゆるプラトー間遷移である。この遷移に関わる磁場の幅は、温度ゼロ、かつ無限系ではゼロとなる。一方、有限系、有限温度では、有限幅を持つ。一方、暗黒物質アクシオンは強磁場中では弱い電磁波を発生する。この電磁波は電子に吸収され、温度ゼロ、無限系であっても、上記の遷移に有限幅をもたらす。この状況を考慮して、既存の実験結果を最解釈すると、100mK以下の低温で、アクシオンの効果が現れていることを指摘する。また、マイクロ波を照射した実験から、アクシオンの質量が、ほぼ、10^(-5)eVであることが分かる。アクシオンによる電磁波を遮蔽して実験をするとことで、アクシオンの存在の有無を確かめることが可能である。
- 森本 朝陽 (高知大学)
--- スカラー媒質中におけるフェルミオンのアイソスピン偏極, Isospin Polarization of Fermion in Scalar Medium
媒質中での粒子のスピン偏極は様々な環境下で発生していると考えられている。このような、物理モデルの解明は粒子の持つ状態の起源を解明することにつながる。本研究では、粒子の内部自由度としてアイソスピンに注目して、スカラー媒質中におけるフェルミオンのアイソスピン偏極の研究を行っている。フェルミオンはボソンとの相互作用により、状態が変化する。その変化は、有限温度系における媒質中のスカラー場が自発的対称性の破れを起こすことにより、一様だった媒質は対称性の破れた方向に傾くため、フェルミオンのアイソスピンは相互作用を通じて対称性の破れた方向に偏極する。このフェルミオンに揺動散逸定理を用いて緩和時間の計算を目標としている。
- 宮田 晃宏 (KITS, UCAS)
--- Hawking-Page and entanglement phase transition in 2d CFT on curved backgrounds, Hawking-Page and entanglement phase transition in 2d CFT on curved backgrounds
The thermodynamics and the entanglement properties of two-dimensional conformal field theories (2d CFTs) on curved backgrounds are studied. By means of conformal mapping we study the equivalent system on flat space governed by the deformed Hamiltonian, which is a spatial integral of the Hamiltonian density modulated by an enveloping function. Focusing on holographic CFTs, we observe Hawking-Page like phase transition for the thermal and the entanglement entropy as we vary the background metric. We also compute the mutual information to study the information-theoretic correlation between parts of the curved spacetime. The gravity dual of 2d CFTs on curved background is also discussed.
- 湊 修平 (東大)
--- 摂動計算は高密度核物質の音速のピークを説明できるか?, The Perturvative Calculation and the Peak of Sound Velosity in Dense Nuclear Matter
IsospinQCDおよび有限バリオン密度2ColorQCDを例として、クォーク物質中での音速の振舞を摂動論に基づいて議論する。常伝導相での摂動計算に、媒質中での遮蔽効果・超流動相の効果・インスタントン誘起相互作用の効果を順次取り入れ、それらの効果による常伝導相での結果の変化を評価した。さらに、この計算の信頼性を担保するため、高密度領域で摂動計算と格子QCD計算とを比較し、それらの整合性を確認した。最後に、これらの結果を現状格子QCD計算が困難な有限バリオン密度QCDに拡張し、先の2つのモデルとの差異についても議論する。
- 高見 凌央 (京大基研)
--- 三角行列構造で保護されたトポロジカル相, Topological Phases Protected by Triangular Matrix Structure
ハミルトニアンがブロック三角行列で与えられたとき、その固有値はブロック対角成分の情報によってのみ決定されるため、トポロジカルゼロモードや表皮モードの出現はブロック対角成分の対称性とトポロジーに起因している。本発表では三角行列構造に保護されたトポロジカル不変量を導入し、ブロック三角型のハミルトニアンにおけるエネルギースペクトルや波動関数のふるまいをこのトポロジカル不変量と対応づける。また、三角行列構造を破る摂動を加えたときのハミルトニアンのふるまいを調べる。
- 山川 京祐 (高知大学)
--- 時間依存変分法を用いた時空依存性を持つカイラル凝縮, Analysis of Chiral Condensates with Space-Time Dependence Using Time-Dependent Variational Method
O(4)線型シグマ模型に対してガウシアン型の波動汎関数を仮定し、時間依存変分法を用いることにより、量子効果を取り込みつつ、時空座標依存性を持ったカイラルオーダーパラメーターや、中間子質量に対する自己無撞着方程式を導くことができる。このとき、パイオン質量はGoldstoneの定理を満たす形で求まる。本研究ではAnselm-Ryskinによる古典解[1]に着目し、上で述べた時間依存変分法を適用することで、シグマ・パイゼロ方向に時空依存性を持つ凝縮体が存在する場合について、カイラル対称性の破れ・回復などを、量子効果も含めて議論する。[1]A.A.Anselm,Phys.Lett.B219(1989)169;A.A.Anselm,M.G.Ryskin,Phys.Lett.B266(1991)482
- 金子 将大 (新潟大学)
--- パイ中間子気体中における重クォーコニウム間の複素ポテンシャル, Complex-valued potential between heavy quarkonia in a thermal pion gas
身の回りの物質を構成するハドロンは、クォーク3つからなるバリオンとクォーク・反クォーク対からなるメソンに大別される.近年では高エネルギー加速器実験により重いクォーコニウムを含むハドロン状態としてXYZ状態が報告され、メソンやバリオン以外の構造を持つエキゾチックハドロンを量子色力学(QCD)の枠組みから理解しようとする試みが行われている.エキゾチックハドロン状態の候補の1つに、内部にハドロンを構成要素としてもつハドロン分子状態が期待されている.また、2つの重いクォーコニウム間の相互作用をパイ中間子が媒介するモデルにおける解析では、クォーコニウム間の2パイ中間子交換力が引力的にはたらくという解析結果も報告されている.しかしながら、媒質中における粒子間のポテンシャルは一般に複素数に値を取ることが知られており、有限温度のパイ中間子気体中でクォーコニウム間にどの様なポテンシャルが働いているかはまだ明瞭には理解されていない.本講演では、パイ中間子気体中に置かれた2つの重いクォーコニウムを考え、熱的なパイ中間子との相互作用によってどの様なポテンシャルの虚部が生じるのかを紹介する.特に、パイ中間子気体中における重いクォーコニウム間のポテンシャルの虚部は、2粒子間の距離rが十分に大きいところではr^(-2)でべき的に減衰していくという結果を説明する.
- ベンワ ニコラス (広大)
--- Estimating a scalar conductivity for quark-gluon plasma in a relativistic magnetohydrodynamic model, Estimating a scalar conductivity for quark-gluon plasma in a relativistic magnetohydrodynamic model
We will introduce our model for the dynamic evolution of quark-gluon plasma (QGP) and electromagnetic (EM) fields together using relativistic resistive magneto-hydrodynamics (RRMHD). Our RRMHD model is interesting for heavy-ion collisions because it includes a finite scalar electrical conductivity. That conductivity acts as dissipation between the EM fields and the QGP. We demonstrate how the charged particle directed flow (v1) could also be used as an observable for QGP conductivity. Additionally, we apply the same model to calculate a potentially cleaner observable, the direct photon elliptic flow (v2). Because the QGP and EM fields are connected through the same conductivity for both calculations, we will compare and discuss the preferred values of both
- 阿部 雄太 (新大自然)
--- 有限温度格子QCDの重クォーク領域における粒子密度分布関数を用いた密度ギャップの探索, Search for density gap using particle density distribution function in heavy quark region of finite temperature lattice QCD
クォーク数密度の確率分布関数に焦点を当て有限温度格子QCDにおける相転移の研究をしています。特に一次相転移付近で発生するバブルの内側と外側の密度差をQCDの数値シミュレーションから求めようとしています。
しかしそこで問題となるのが符号問題です。密度が高くなるにつれて符号問題が深刻になります。比較的計算が容易なクォーク質量が重い領域の一次相転移点付近でシミュレーションを行い、より高密度でシミュレーションが可能にならないかということを研究しています
- 本田 大和 (九州大学)
--- Axion QED as a Lattice Gauge Theory and Non-Invertible Symmetry, Axion QED as a Lattice Gauge Theory and Non-Invertible Symmetry
modified Villain formalismを用いて、正方格子上でaxion QEDの定式化を試みた。連続理論でのaxion-photon couplingの構成は単純に思えるが、格子理論では対応するcouplingの構成自体がすでに複雑であることが分かった。その結果として、我々が構成した格子上のaxion QEDでは、ゲージ不変な't Hooft loopがその内側に膜を要することを明らかにした。さらに、axionの0-form shift symmetry、つまりaxial変換に関するnon-invertible symmetryを議論した。連続理論では、このco-dim 1 non-invertible symmetry operatorが't Hooft loopに作用した際に、't Hooft loopの内側に膜が張られることが報告されている。しかしながら、我々の膜付きの't Hooft loopは、この作用の下で新たに膜を張ったりはしないことを示した。
- 岡嶋 佑典 (慶大理工)
--- スピン軌道相互作用を有する冷却フェルミ原子気体におけるrashbonと熱解離の効果, Spin-orbit coupled ultracold Fermi gases and effects of rashbon bound states and the thermal dissociation
冷却フェルミ原子気体にスピン軌道相互作用を導入すると、2体束縛状態が促進される。その結果、原子間引力相互作用が極めて弱い相互作用領域でも「rashbon」と呼ばれるボース分子が形成されると理論的に示されている。本発表では、常流動相における比熱の温度依存性に対し、rashbonやその熱解離が及ぼす影響について議論する。比熱は、強結合効果をNozières-Schmitt-Rink (NSR)理論の範囲で取り込み、原子間引力相互作用とスピン軌道相互作用の全相互作用領域で計算する。
- 網谷 達也 (東京工業大学)
--- 量子ホール系の低エネルギー有効理論と非線形応答, Effective field theory of quantum Hall systems
本発表では、量子ホール系を低エネルギー有効場の理論の手法を用いて解析した研究について議論する。この手法は、系の微視的な理論が持つ対称性に基づいて有効作用を構築するというものである。本研究では、量子ホール系を仮想的に曲がった時空間上に置き、エネルギー流の計算を可能とした。そして、曲がった時空間上で現れる隠れた対称性に基づいて有効理論を構成することで、応答係数同士の非自明な関係式を明らかにした。
- 野中 千穂 (広島大学 / 名古屋大学)
--- Shape-based clustering method for classification of phases in the Gross-Neveu Model, Shape-based clustering method for classification of phases in the Gross-Neveu Model
We propose a method that can directly extract characteristic structures from configurations generated
by lattice QCD simulations.The method uses shape-based distances as a similarity measure,
similar to the K-shape method.We apply this unsupervised learning, shape-based clustering
method to the analysis of the spatial dependence of chiral condensation Iin a 1+1 dimensional
Gross-Neveu model on a lattice. Furthermore, we employ the method for classification of the
phases of the 1+1 D Gross-Neveu model on the T - μ plane.
- 小野田 壮真 (九州大学)
--- ボゾン化法に基づく2次元カイラルゲージ理論の新しい格子定式化, Novel Lattice Formulation of 2D Chiral Gauge Theory via Bosonization
最近、可換ボゾン化に基づき、2次元の可換カイラルゲージ理論の格子定式化がBerkowitz, Cherman, Jacobsonにより考案された。ボゾン理論を考えることにより、格子上で厳密にそしてシンプルにカイラル対称性を実現することができる。一方で、2次元コンパクトスカラー理論においては格子のくり抜きにより磁荷を表現でき、可換ボゾン化の観点では磁荷はフェルミオンのベクトル電荷に対応する。本講演では、Berkowitzらの定式化とは異なり、格子のくり抜きを作る手法に基づいた2次元の可換カイラルゲージ理論の格子定式化を提案する。
- 国広 悌二 (京大基研)
--- G0力を用いた核物質中のパイ中間子凝縮再訪, Revisit on Pion Condensation in Nuclear Matter with Use of G0 Force
高密度核物質中でのパイ中間子凝縮の可能性を現実的核力から構成した有効核力(G0力)を用いて調べる。具体的には、この有効核力が実験的に得られるランダウ-ミグダルパラメータg'を定量的によく再現することを確認したあと、この相互作用を用いて核物質中のパイ凝縮の前駆モードとしての縦波および横波スピン-アイソスピンモードのスペクトラル関数を計算し、縦波モードがパイ凝縮相への相転移の前駆現象として密度増大と共に顕著なソフト化することを示す。また、Δ-空孔励起の効果や中性子星の構造研究への含意についても議論する。
- 内田 経夫 (KEK)
--- Hosking積分と磁気乱流, Hosking integral and turbulence in magneto-hydrodynamics
Hosking積分と呼ばれる磁気流体力学の保存量が近年発見された。Hosking積分は、磁気ヘリシティと呼ばれる既知の保存量の空間的ゆらぎを定量化したものである。これにより、磁気乱流の理解が進展し、初期宇宙の磁場発展の解析的記述が可能になった。本講演では、Hosking積分の理論と数値的な裏付けを紹介するとともに、Hosking積分の保存に基づいて、初期磁場に対する宇宙背景輻射からの制限をアップデートする。
- 劉 想 (名大理)
--- From Hadrons to Quarks: constraints on the neutron star matter equation of state with a general approach, From Hadrons to Quarks: constraints on the neutron star matter equation of state with a general approach
We employ an analytical approach to constrain the equation of state (EOS) of neutron star matter from 2n₀ to 5n₀ (where n₀ is the normal nuclear density), a range strongly related to the transition from hadronic to quark matter. For the low-density regime up to 2n₀, we construct the nuclear matter EOS based on the parity doublet model. For the high-density regime starting from 5n₀, we use the Nambu–Jona-Lasinio (NJL) model.
To constrain the EOS in the intermediate region from 2n₀ to 5n₀, we extract information only from the thermodynamic potential. This general approach allows us to obtain constrained pressure-energy regions in the intermediate density range that are completely independent of any interpolation functions.
- 宮地 大河 (神戸大)
--- 完全WKB解析を用いたブラックホール準固有振動の解析, Analysis of black hole quasinormal modes by Exact WKB analysis
完全WKB解析を用いたブラックホール準固有振動の解析について論じる。完全WKB解析は2階常微分方程式の解の大域的挙動を近似無しで与える手法であり、特に固有値の満たすべき条件式を出す際に有用である。本講演ではこの手法を球対称なブラックホールの摂動方程式に適用する。特に一般相対論を超えた重力理論による補正の効果を取り入れた場合に、高減衰率をもつブラックホール準固有振動数の評価について論じる。
- 花井 奏太 (慶應義塾大学)
--- 有限密度・磁場におけるカイラルフェルミオンの非線形応答, Nonlinear response of chiral fermions at finite density in magnetic fields
中性子星のような高密度かつ磁場が存在する系でのカイラルフェルミオンの輸送特性を明らかにすることは重要である。本発表では、磁場中のカイラル物質において光子の自己エネルギーを求め、外場の2次に対するカレントの応答を議論する。また、有限密度・磁場における光子の分散関係を導出する。
- 西村 健太郎 (広島大学)
--- 1+1次元有限密度QCDのハミルトン形式による数値解析, Numerical calculation of dense QCD in 1+1 dimension with Hamiltonian formalism
We study one-flavor SU(2) and SU(3) lattice QCD in (1+1) dimensions at zero temperature and finite density using matrix product states and the density matrix renormalization group. We compute physical observables such as the equation of state, chiral condensate, and quark distribution function as functions of the baryon number density. As a physical implication, we discuss the inhomogeneous phase at nonzero baryon density, where the chiral condensate is inhomogeneous, and baryons form a crystal. We also discuss how the dynamical degrees of freedom change from hadrons to quarks through the formation of quark Fermi seas.
- 岩中 章紘 (阪大RCNP)
--- ボトムアップホログラフィック QCD 模型による中性子星状態方程式の記述, Equation of state in neutron stars from a bottom-up holographic QCD model
中性子星内部に実現していると考えられているような高密度 QCD 物質の性質は未だ多くの謎に包まれている.本研究ではこうした高密度 QCD 物質の状態方程式をボトムアップホログラフィック QCD 模型で記述した.ホログラフィック QCD 模型は強結合性を反映した計算が可能であり,中性子星内部の有限密度 QCD 物質を記述する上で適している.得られた状態方程式から中性子星の質量と半径の関係や音速を調べた.加えて,原子核実験などから示唆されているカイラル対称性の部分的回復を確認した.
- 木村 大自 (宇部工業高等専門学校)
--- NJL模型におけるカイラル対称性の過回復, Superrestoration of chiral symmetry in NJL model
温度や密度の変化によるカイラル対称性の動的な破れは、QCDの面白いテーマの
1つである。例えば、カレント質量をもつNJL模型を用いると、低密度・高温領域
のカイラル相転移はクロスオーバーになる。これは有効ポテンシャルがカレント
質量の影響で傾いているため、カイラル凝縮が高温領域でも有限の値を取るから
である。ところがNJL模型等では、有限温度効果の正則化の処方によって高温領域等
でカイラル凝縮が0になり、過回復することが分かった。このカイラル対称性の
過回復する境界や物理量への影響を調べたので報告したい。
- 平口 敦基 (日本原子力研究開発機構)
--- トポロジカルデータ解析を用いた格子ゲージ理論の閉じ込めの研究, Investigating confinement in lattice gauge theories with topological data analysis
クォーク閉じ込め機構は未だに解明されていない問題であり、格子ゲージ理論を用いてこれまで多く研究されてきた。本研究では、トポロジカルデータ解析というデータ解析の手法を用いて、SU(2)Higgs模型でのヒッグス場の配位を解析した結果を説明する。
- 勝田 龍太朗 (早稲田大学大学院基幹理工学研究科)
--- 引力型相互作用するBose-Einstein凝縮体とダークマターの類似性, Similarity of Self-Gravitating Bose-Einstein condensates and dark matter
本研究ではダークマターを未知のボソン場のボースアインシュタイン凝縮とするモデルを扱う。系を記述するグロスピタエフスキー方程式の解により導出した回転曲線と観測結果を比較し、モデルの妥当性を検討する。
- 林 優依 (京大基研)
--- Semiclassics for QCD vacuum structure via T^2 compactification, Semiclassics for QCD vacuum structure via T^2 compactification
最近提案された’t Hooft fluxとbaryon magnetic fluxを入れたT^2コンパクト化による半古典的な方法でQCDの真空構造を調べた.この設定では,小さいT^2において閉じ込め真空は半古典的にcenter-vortex gasで記述され,その半古典的記述はadiabatic continuityの仮定の下でコンパクト化前の理論の真空構造を予言する.その結果,T^2を丸めた後の2次元有効理論として「周期が伸びたeta prime中間子付きのchiral Lagrangianの2次元版」が得られ,期待されるQCDのθ項依存性を説明する.直感的には,eta primeがYang-Mills真空のSPT labelを吸収して周期が伸びているように解釈できる.また,4次元のchiral Lagrangianについても,この周期が伸びたeta primeを使うことで,知られている真空の大域的な構造との整合性が改善することを指摘する.
- 横倉 諒 (慶應義塾大学)
--- アクシオン電磁気学における高次対称性とスピン構造, Higher-form symmetries and spin structure in axion electrodynamics
(3+1) 次元のアクシオン電磁気学における高次対称性と時空のスピン構造の関係について議論する。アクシオンと光子のトポロジカル結合がアクシオンの周期性と整合するためには、時空にスピン構造が必要になりうることを示す。この整合性から要求されるスピン構造とアクシオン・光子の間の結合を導入した結果、マクスウェル方程式から得られる1次対称性の生成子がエニオン的なスピン統計性を持ちうることを議論し、さらに既知のカイラル磁気効果とこのエニオン統計との関係を説明する。
- 日高 義将 (京大基研)
--- 超流動性をともなうヒッグス相と閉じ込め相は区別可能か?, Are the Higgs and confinement phases in the presence of superfluidity distinguishable?
3フレーバQCDの有限密度系では,低密度でハドロン(閉じ込め)超流動相が実現し,高密度では超流動性をともなうカラー超伝導(ヒッグス)相が実現すると考えられている.しかし,この2つの相は大域対称性とその破れのパターンが同じため,相転移を伴わず連続的につながっている可能性が指摘されている.QCDに代表されるような超流動性をともなう閉じ込め相とヒッグス相は,区別可能だろうか?本講演では,バルクは相転移なしに連続的につながるが,超流動渦がある場合には,渦上に相転移が起こる可能性があることを指摘する.具体的な模型としてU(1)×U(1)格子モデルにおける超流動をともなうヒッグス-閉じ込め転移を考察し,このシナリオが実際に実現することを弱結合/強結合展開とモンテカルロシミュレーションを用いた計算によって示す.また,QCDにおいて同様のシナリオが実現しうるかについても考察する.
- 川平 将志 (京大基研)
--- 1次元コンパクトスカラー理論と前因子化代数, compact scalar theory and prefactorization algebra
1次元コンパクトスカラー理論はインスタントン効果をもつという点で興味深い理論である.また,前因子化代数は場の量子論の数学定式化において重要な役割を果たすとして近年注目されている.本発表では,前因子化代数の枠内で1次元コンパクトスカラー理論を議論する.
- 長谷川 瑠巳 (新潟大学(理研iTHEMS))
--- 物質場に結合した Jackiw-Teitelboim 重力理論の量子シミュレー ション方法の提案, Jackiw-Teitelboim gravity with matter on quantum computer
近年Jackiw-Teitelboim重力理論 (JT重力)がホログラフィなどの文脈で注目されている。JT重力を物質場と結合させると、解析的な取り扱いが難しくなると共に、従来の数値計算手法が適用困難になると考えられる。本講演では、量子計算機を用いて物質場に結合したJT重力を数値シミュレーションする方法を議論する。本研究は本多正純氏との共同研究に基づく。
- 大谷 聡 (日大量科研)
--- 1次元3体相互作用とトポロジー, Topology and three-body interaction in one dimension
量子多体相互作用の中には多体配位空間(多体波動関数の定義域)のトポロジー(を起源とする群の表現論)で規定されるものが存在します.その典型例は2次元量子多体系の2体相互作用で,同種粒子系の場合はブレイド群の表現論,非同種粒子系の場合は純ブレイド群の表現論で決まる2次元2体相互作用が存在することはよく知られています.最近になって,1次元量子多体系の3体相互作用の中にも多体配位空間のトポロジーで完全に決定されるものが存在することが明らかになってきました.本講演ではトポロジーで決まる量子多体相互作用の最近の発展についてレビューを行います.
- 古城 徹 (東北大)
--- 中性子星観測と高密度QCD, Neutron star observations and high density QCD
QCDの基本自由度であるクォークやグルーオンは通常ハドロン内部に閉じ込められているが、原子核を圧縮していくと、まず核物質を形成し、さらに核子が重なう合う程度の密度でクォーク物質が形成されると考えられている。ハドロン物質がクォーク物質に転移する領域は強相関系であり、有効的自由度がはっきりしないため理論的記述が大変難しい。一方、この転移領域は『カイラル対称性の回復』、『非閉じ込め』、『カラー超伝導』、『quarkyonic物質』などの概念が絡み合う大変魅力的な系となっている。これらの理論的示唆を検証できる低温・高密度の実験室系は残念ながら地上では実現し得ないが、宇宙まで視野を広げれば、中性子星という天然の実験室系が存在し、その観測が高密度QCD物質の物性に多くの示唆を与えてくれる。この講演では、近年の中性子星観測の進展をまとめた後、装いを新たにしつつある高密度QCD物性についてレビューする。
- 殷 文 (東京都立大)
--- eVダークマターの熱生成と実験的探索, Thermal production of eV dark matter and the experimental prospects
熱生成されるeVのダークマターはホットダークマターパラダイムとして、40年前に広く信じられていた。しかし、構造形成の議論によるダークマターの「冷たい」性質の理解から排除された。本講演では、ボーズ増幅を考慮することで、同様のダークマター模型が必ずしも排除されていないことを指摘する。さらには、その探索可能性の現状と将来を議論する。
- 赤松 幸尚 (阪大)
--- 揺らぐ流体力学・QCD臨界点の理論研究, Fluctuating hydrodynamics and QCD critical point
- 和田 辰也 (京大基研)
--- Lee-Yangゼロの有限サイズスケーリングと3状態ポッツ模型への応用, Finite-size scaling of Lee-Yang zeros and its application to 3-state Potts
QCDにおいて温度と化学ポテンシャルを変化させたとき、一次相転移線とその端点であるQCD臨界点が現れることが期待されている。しかし、第一原理計算である格子QCD数値計算においては有限密度領域で符号問題と呼ばれる問題が存在し、QCD臨界点探索が困難となっている。近年、この困難の解決策として、Lee-Yangゼロ(LYZ)とLee-Yangエッジ特異点を用いてQCD臨界点を探索する手法とその結果が提案され、注目されている。しかし、これらの研究では、無限体積系でしか適用できないLee-Yangエッジ特異点の議論を有限体積の数値解析に適用した議論が行われており、その妥当性には検証が必要である。
そこで本研究では、臨界点をもつ一般の系について、LYZの有限サイズスケーリングを用いて有限体積系で臨界点を特定する新手法を提案する。この手法を用いることで、臨界点の位置、臨界点の属する普遍類の特定、また、同じ普遍類に属するスケーリング関数のパラメータ空間を一般の系への埋め込みが可能となる。また、その手法を3次元3状態ポッツ模型に適用する。この模型に現れる臨界点に対して、LYZを用いた新手法を適用し、位置、普遍類の特定、座標系の埋め込みを行う。
- 福島 理 (理研)
--- 射影表現と固有状態熱化仮説, Projective representation and eigenstate thermalization hypothesis
- 森 貴司 (慶大)
--- 開放系の量子ダイナミクス, Quantum dynamics in open quantum systems
近年、散逸を伴う量子多体系の研究が理論、実験の両面から進められている。本講演では、開放量子系の理論的な扱い方をなるべく丁寧に解説し、最近の進展についても簡単に説明する。最近の進展については、境界散逸系における緩和の遅れ現象と、バルク散逸系における演算子成長による緩和の加速現象を取り上げて議論する。
- 中山 泰晶 (京大理)
--- The Petz lite recovery map for the Hayden-Preskill channel, The Petz lite recovery map for the Hayden-Preskill channel
ブラックホール内部の物理を探る研究において、量子情報の手法は本質的に重要な役割を果たしている。ヘイデンとプレスキルの思考実験では、ブラックホールのダイナミクスをランダムなユニタリー行列とみなし、ブラックホールに投げ込まれた情報をホーキング放射から復元できる条件を調べている。我々は彼らのセットアップを量子誤り訂正の観点から捉え直し、ランダム行列とSYK模型のそれぞれを用いたカオス的なノイズチャンネルに対するデコーダーとして、ペッツ復元写像の簡略版であるペッツライト復元写像が使えるということを、解析的な計算によって示した。本講演は、立教大の宇賀神知紀氏、中国科学院大Kavli ITSの宮田晃宏氏との共同研究(PTEP 2023 (2023) no.12, 123B04 [hep-th])に基づく。