TQFT 2023 Abstracts

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• 関澤 一之 (東京工業大学)
  --- 時間依存密度汎関数法による中性子星クラスト物質の微視的記述, Microscopic Description of Neutron Star Crustal Matter Based on Time-Dependent Density Functional Theory
  密度汎関数法（Density Functional Theory: DFT）は，核図表の全領域にわたる原子核の構造から核物質の性質に至るまでの微視的かつ統一的な記述を与える，強力な枠組みである．その時間依存拡張版である時間依存密度汎関数法（Time-Dependent DFT: TDDFT）は，原子核の励起・応答・反応など，様々な原子核ダイナミクスの記述に用いられてきた．最近では，中性子星内殻の核物質や超流動中性子の量子渦のダイナミクスの記述にも応用されている．中性子星内殻は，中性子過剰な原子核のクーロン格子が超流動中性子の海に浸されているような状況にあり，固体物理学と密接に関係する．固体物理学の分野では，結晶構造中の電子状態に見られるバンド構造が千差万別の物性を特徴付けることがよく知られているが，(TD)DFTに基づく完全自己無撞着な中性子星内殻のバンド理論計算が実現されたのは，実はつい最近のことである．本講演では，TDDFTに基づく中性子星内殻の微視的記述，特に超流動ダイナミクスやバンド構造効果に焦点を当て，最近の進展を紹介したい．
• 渡邉 真隆 (名古屋大学)
  --- 有限密度Chern-Simons matter理論と対称性の破れ, Chern-Simons-matter theory at finite baryon number density
  共形場理論の高密度極限における対称性の破れを調べる．一般に，この対称性の破れを用いて有効作用を書き下すことで，一般の強結合共形場理論の物理量が密度の逆数展開で計算できる．本発表では，O(2) Wilson-Fisher固定点におけるこの事実のレビューのあと，高密度極限を取ることで空間の対称性が破れる例について調べる．具体的には，O(4) Wilson-Fisher固定点，レベルk SU(2) Chern-Simons理論にスカラー場を結合したChern-Simons-matter理論の2つについて高バリオン密度極限でそれぞれ並進対称性，回転対称性が破れることを示す．
• 中西 泰一 (京大基研)
  --- ダイポールモーメントを保存する場の理論におけるフラクトンの記述とその有効理論について, Description of fractons by dipole conserving field theory and its effective theory
  近年，フラクトンと呼ばれる準粒子が量子情報，物性物理，素粒子などの幅広い分野において注目を集めている．この準粒子はもともと誤り訂正を持つ量子メモリーを記述する格子模型において現れたもので，単独では空間中を移動できないという奇妙な性質を持っている．本研究では，フラクトンをダイポールモーメントを保存する場の理論を用いて記述し，その有効理論が部分系対称性と呼ばれる対称性と関係を持つことを議論する．本発表は本多正純氏，戎弘実氏との共同研究に基づく．
• 向田 享平 (KEK)
  --- 宇宙の再加熱・熱化と高エネルギー標準模型粒子のカスケード, Thermalization after Inflation via Cascades of High-energy SM particles
  宇宙に重い長寿命粒子があるとその崩壊によって高エネルギー標準模型粒子が生成され、原始熱プラズマと相互作用してカスケード現象を起こして熱化する。本講演では、インフレーション後の再加熱でこの過程が重要となることを示し、LPM効果と主要な標準模型相互作用を含むKinetic equationを解析することで、宇宙の再加熱・熱化がどのように起こるかを議論する。
• 郭 一昕 (東京大学大学院理学系研究科物理学専攻)
  --- Three-body clustering in one-dimensional Fermi gases, Three-body clustering in one-dimensional Fermi gases
  We first theoretically investigate in-medium two- and three-body correlations in one-dimensional spinless fermions with attractive two-body p-wave interaction. The one-dimensional system with the strong p-wave interaction is found to be stable against the formation of three-body clusters. By including the dimensionless three-body coupling, we find that an in-medium three-body state similar to a squeezed Cooper triple appears. As a step further, we also theoretically investigate in-medium two- and three-body correlations in one-dimensional two-component Fermi gases with coexistent even-parity s-wave and odd-parity p-wave interactions. We find the solutions of the stable in-medium three-body cluster states such as the Cooper triple by solving the corresponding in-medium variational equations. We further feature a phase diagram consisting of the s- and p-wave Cooper pairing phases, and Cooper tripling phase.
• 稲垣 知宏 (広大)
  --- カイラル対称性の超回復, Super Restoration of Chiral Symmetry
  ４体フェルミ相互作用する質量を持つフェルミオン系での高温、化学ポテンシャルでのカイラル対称性の超回復について紹介する。離散的カイラル対称性を持つGross Neveu模型、連続的カイラル対称性を持つNambu-Jona-Lasinio模型について考え、高温状態、あるいは大きな化学ポテンシャル中での質量項に伴うカイラル対称性の明示的な破れと基底状態によるカイラル対称性の自発的破れの振る舞いから、カイラル対称性の超回復の可能性を示し、その特徴について議論したい。
• 菅原 寛人 (新潟大自然)
  --- Nt = 8格子QCD計算による重クォーク領域のQCD臨界点近傍での有限体積スケーリング, Finite size scaling near QCD critical points in the heavy quark region by Nt=8 lattice QCD simulation
  本研究では、格子QCDのモンテカルロシミュレーションを行うことによって重クォーク領域における臨界点の位置および性質を調べる。我々によるNt = 4, 6の研究を発展させ、格子間隔をさらに細かくしたNt = 8の格子を用いて、ホッピングパラメータ展開と再重み付け法を組み合わせた方法で、臨界点の解析を行う。有限体積スケーリング解析を行うことによって臨界点の位置および臨界指数を求める。それによって連続極限での臨界点の決定を目指す。
• 阿部 元一 (Kyushu University)
  --- $\mathbb{Z}_N$ $1$-form対称性に付随する't Hooftアノマリーの格子定式化, Lattice construction of 't Hooft anomaly with $\mathbb{Z}_N$ $1$-form symmetry
  We extend the definition of L\"uscher's lattice topological charge to the case of $4$d $SU(N)$ gauge fields coupled with $\mathbb{Z}_N$ $2$-form gauge fields. This result is achieved while maintaining the locality, the $SU(N)$ gauge invariance, and $\mathbb{Z}_N$ $1$-form gauge invariance, and we find that the manifest $1$-form gauge invariance plays the central role in our construction. This result gives the lattice regularized derivation of the mixed 't~Hooft anomaly in pure $SU(N)$ Yang-Mills theory between its $\mathbb{Z}_N$ $1$-form symmetry and the $\theta$ periodicity.
• 早田 智也 (慶應義塾大学)
  --- スピンネットワークに基づくハミルトニアン格子ヤン-ミルズ理論の定式化, String-net formulation of Hamiltonian lattice Yang-Mills theories
  量子計算機やテンソルネットワークに基づく数値計算法が格子ゲージ理論における符号問題を解決するかもしれない新しい手法として注目を集めている。これらの手法に基づいて格子ゲージ理論の計算を実装するにはゲージ理論のヒルベルト空間と演算子をスピン系へとマップする必要があるが、その方法はいまだ確立されていない。本講演では、量子重力や物性物理におけるトポロジカル相の研究に用いられているスピンネットワークとその拡張に基づく格子ヤン-ミルズゲージ理論の定式化とそのテンソルネットワークに基づく解析について発表する。
• 千葉 隆司 (東北大学)
  --- QCD物質の音速のピーク構造と高密度極限；quark mesonモデルによる解析, Sound velocity peak structure and conformality in QCD matter; quark meson model analysis
  近年の中性子星の観測によって、QCD物質の音速は2-5n0（n0:原子核密度）においてピーク構造を持つことが示唆されている。また高密度領域では、漸近的自由性によって音速はconformal value と呼ばれる値に漸近することが知られている。これら音速や状態方程式（EOS）に示唆されている特徴について、quark mesonモデル（Isospin QCD）による解析の結果を紹介する。さらに非摂動効果が高密度領域の定性的な振る舞いに与える効果についても議論する。
• 大畑 宏樹 (京大基研)
  --- ボソン化法による符号問題を回避したシュウィンガー模型のモンテカルロ計算, Monte Carlo study of Schwinger model without the sign problem by bosonization
  モンテカルロ法は量子多体系の代表的な第一原理計算手法であるが、CP対称性を破るシータ項がある場合や有限密度系において、ユークリッド作用の実性が破れることで適用が困難となることが知られている（符号問題）。本講演ではシュウィンガー模型における符号問題を、ボソン化されたシュウィンガー模型を格子上に構成することで回避する手法を提案し、実際のモンテカルロ計算結果を他の手法による結果と比較することで本手法を実証する。また、他の模型への本手法の適用可能性を議論する。
• 渡辺 展正 (京大基研)
  --- Toward the application of large-N deconfinement to SU(3) QCD, Toward the application of large-N deconfinement to SU(3) QCD
  U(N)ゲージ理論の有限温度系では一般に、ラージN極限を取ることで相転移が発現することが知られている。ラージN理論ではHagedorn相転移とGross-Witten-Wadia相転移の2つを経るため、従来の定義で閉じ込め・非閉じ込めに分類される相以外にも、非自明な中間相が実現されることがわかっている。本研究では、類似の中間相がN=3にあたるQCDにおいても存在するかについて議論する。具体的には、有限温度での重クォークの格子full QCD計算のゲージ配位を解析し、SU(N)ゲージ理論のゼロ温度で期待されるHaar randomnessからのズレを、ラージN理論の示唆する物理量を使って調べた。
• 岡崎 晃一 (東京大学物性研究所)
  --- 量子多体系におけるLandau–Zener遷移, Landau-Zener transition in quantum many-body system
  従来のLandau–Zener公式が破綻するような電場強度について議論し、新しい電場依存性について発表する。それに加えて、非断熱極限では格子上のトンネル確率が波動関数の局在長を反映した量子計量と関連することを見いだした。この現象をバンド絶縁体の場合とHaldaneスピン鎖を例にして説明する。
• 末永 大輝 (理研)
  --- 有限密度2カラーQCDにおける線形シグマ模型の構築とその応用, Linear sigma model in two-color dense QCD: construction and its application
  低エネルギーで有用なハドロン有効模型として、カイラル対称性の線形表現に基づいた「線形シグマ模型」がある。本講演では、有限密度2カラーQCDにおける線形シグマ模型の構築を行い、ハドロン質量スペクトルに着目した格子QCD計算結果との比較により、その有用性を示す。また線形シグマ模型の応用法を示し、その一例として、有限密度系でのU(1)アノマリーの情報を引き出す際に重要な「トポロジカル感受率」の評価を行う。 参考文献: D Suenaga, K. Murakami, E. Itou and K. Iida, PRD 107, 054001 (2023) M. Kawaguchi and D. Suenaga, 2305.18682 [hep-ph]
• Abdi Cendikia (広島大学)
  --- Transport Model Approach to Quark-Gluon Plasma Equilibration., Transport Model Approach to Quark-Gluon Plasma Equilibration.
  The thermalization and chemical equilibration processes of the gluon dominated matter produced immediately after high energy collision are still poorly understood due to its far-from equilibrium nature. We use transport simulation to explore this phase where we include 2-to-3 interactions which are important to the thermal and chemical equilibration processes as the source of particle and entropy production. We prepare the initial condition for Au-Au at √s = 200 GeV in a far from equilibrium state with the mini-jet model inside a box with fixed length and periodic boundary condition. The transport model is based on hadronic transport model SMASH modified to be used with parton case. Chemical equilibration is driven by quark-antiquark production/annihilation from gg → qqbar channel and gluon radiation/absorption process from gg → ggg, qg → qgg, and qq → qqg channels. Compared to previous models which often focused on exclusively gluon-only gluon absorption and radiation processes, here we added two new gluon absorption/radiation channels and analyze the effect of these two channels on the equilibration process By using small fixed QCD coupling constant, we assume that perturbative QCD is still valid at relatively lower energy region and the energy spectrum of the ensemble in thermal equilibrium state approaches Boltzmann distribution function.
• 桂 法称 (東京大学)
  --- 量子多体傷跡状態と関連する話題, Quantum many-body scars and related topics
  孤立量子多体系における熱化（平衡化）は、量子力学と統計力学をつなぐ重要な問題として、長年精力的に研究が行われている。また、近年の冷却原子系などにおける実験技術の発展により，改めて注目されている。熱化を示さない系の典型例としては、可積分系や多体局在系などが知られているが、近年、新たなクラスとして、量子多体傷跡状態(QMBS)をもつ系が理論的にも実験的にも注目されている。QMBSは、高エネルギーでもそのエンタングルメントが体積則に従わない特異なエネルギー固有状態である。本講演では、熱化の問題やRydberg原子系における実験結果について概観した後に、QMBSをもつ理論模型を系統的に構成する処方箋として、(i) Onsager代数、(ii) 可積分境界状態、(iii) 制限されたスペクトル生成代数、などの代数構造を用いた手法を紹介する。
• 森田 健 (静岡大学)
  --- 回転する行列量子力学の相転移とblack holeやQCDとの関係, Phase transition of Rotational matrix quantum mechanics and connection to black holes and QCD
  Bosonic BFSS模型と呼ばれる, D+1次元時空のSU(N) pure YM theoryを1次元にdimensional reductionした模型の有限温度相転移を角運動量化学ポテンシャルがある場合に, CLMと解析計算を用いて調べた. そしてこの模型がlarge-N極限の下で元の pure YMと類似した相構造を持つことを示した. またこの相構造は, 回転black hole(BH)とも類似しており, 更にBHと同様に負の比熱状態をもつ場合があることを解析的に明らかにした. 虚角運動量化学ポテンシャルの依存性についても調べ, pure YMと同様に高温でも閉じ込め相が実現することを明らかにした.
• 西村 健太郎 (KEK)
  --- 磁場中の有限密度QCDにおけるトポロジカルな二次相転移, Topological second-order phase transition in dense QCD under a magnetic field
  [1]は二次相転移を局所的なオーダーパラメータのみによって特徴づけられるものと、さらにトポロジカルな拘束条件が付くものとで二つに分割した。前者は相転移点近傍でオーダーパラメータの相関長のべきで発散する臨界ダイナミクスを示すことが古くから知られており、現在までに多くの研究がなされてきた。一方、後者は現在までに相転移点近傍のダイナミクスの研究は十分になされていない。そこで、磁場中の有限密度QCDで現れるカイラルソリトン格子と呼ばれる、ドメインウォールが磁場と並行な方向に周期的に並んだ結晶状態への相転移ダイナミクスを調べた。我々はドメインウォールの平行移動は相転移点付近で移動速度が0に近づくが、ドメインウォールの変形のような局所的な散逸の速度は有限であることを発見した[2]。よって、トポロジカルに非自明な状態の定常状態への緩和時間は、ドメインウォールのような局在した配位がすでにあるか無いかで初期条件に強く依存することを示した[2]。 [1] De Gennes, P. G. "Phase transition and turbulence: An introduction." Fluctuations, instabilities, and phase transitions(1975): 1-18. [2] Kentaro Nishimura and Noriyuki Sogabe, arXiv: 2304.01264 [hep-th]
• 秋山 進一郎 (筑波大学)
  --- 格子フェルミオン系に対するボンド重み付きテンソル繰り込み群, Bond-weighting method for the Grassmann tensor renormalization group
  テンソル繰り込み群（TRG）は、格子理論の経路積分をテンソルネットワーク（TN）で表現し、その縮約を近似的に実行することで、熱力学極限の経路積分を求値する。TRGのアルゴリズムには様々なバリエーションが存在し、計算対象・目的に応じた使い分けがなされているが、多くの場合、計算精度と計算コストの間にはトレードオフの構図が存在する。ところが、最近提案されたBond-weighted TRG（BTRG）では、ある重みをTNに導入することで、計算コストを一切増大させずに従来のTRGの計算精度が改善され得ることが明らかになった。先行研究ではIsing模型を使った実証計算がなされているが、本研究では、BTRGのアルゴリズムをフェルミオン系へと拡張し、フェルミオン系の場合にも計算コストを増大させずに計算精度の向上が可能であることを数値的に実証する。
• 足立 景亮 (理研BDR)
  --- アクティブマターの相転移・相分離, Phase transition and phase separation in active matter
  細胞やバクテリアなど、エネルギーを使って自ら運動する要素は自己駆動粒子と呼ばれ、その集団はアクティブマターと呼ばれる。アクティブマターはエネルギーの流れが存在する非平衡な多体系であり、向きを揃えた集団運動や引力がなくても起こる凝集（相分離）など、非平衡特有の協同現象が盛んに研究されている。本講演では、アクティブマターの相転移や相分離について、シミュレーション動画などを使って解説し、他の非平衡多体現象との関係や量子系への拡張についても議論したい。
• 田屋 英俊 (理研iTHEMS)
  --- 強い電磁場の物理の最近の発展: Schwinger機構の研究を中心に, Recent developments in strong-field physics and the Schwinger effect
  量子電磁気学(QED)や量子色力学(QCD)の臨界強度を超えるような非常に強い電磁場が高強度レーザーや重イオン衝突を始めとする極限状況で実現できる/されていると考えられている。このような「強い電磁場」という極限状態が特徴づける系では、真空の崩壊や光子の複屈折など、私たちの身の回りでは起こり得ないような特異な現象が起こり得る。このような「強い電磁場の物理」について最近の研究の状況をレビューする。特に、講演者が強い貢献をしてきたSchwinger機構の研究を中心的に議論する。
• 宮地 大河 (神戸大学)
  --- 確率的手法を用いたドジッター時空中の真空崩壊率, Stochastic tunneling in de Sitter spacetime
  ドジッター時空中の偽の真空崩壊率の計算について論じる。ドジッター時空では時空の加速膨張によって短波長モードが長波長モードに転じていく。本研究ではこの短波長モードを量子的なノイズとして取り入れ、長波長モードのダイナミクスを記述するStochastic Approachを用いる。特に、サブホライゾンモードもノイズとして取り入れることで、Hawking-Mossインスタントンよりも支配的な偽の真空崩壊の配位が存在するか否かを議論する。
• ベンワ ニコラス (広大)
  --- Charge-dependent anisotropic flow in a relativistic resistive magneto-hydrodynamic expansion, Charge-dependent anisotropic flow in a relativistic resistive magneto-hydrodynamic expansion
  We have investigated the charge-dependent anisotropic flow in high-energy heavy-ion collisions using relativistic resistive magneto-hydrodynamics (RRMHD). This was achieved by constructing a relativistic resistive magneto-hydrodynamic (RRMHD) numerical simulation for high-energy heavy-ion collisions. We confirmed our code reproduces well known results of standard RRMHD tests in Cartesian coordinates and in Milne coordinates. Then, we analyzed the charge-dependent anisotropic flow in high-energy heavy-ion collisions with our RRMHD code. We have considered the optical Glauber model as an initial model of the quark-gluon plasma (QGP) and the solution of the Maxwell equations with a source term of the charged particles in two colliding nuclei as initial electromagnetic fields. We have calculated the charge-odd contribution to the directed flow Δv1 and elliptic flow Δv2 in both collisions based on electric charge distributions as a consequence of RRMHD. We conclude that the charge-dependent anisotropic flow is a good probe to extract the electrical conductivity of the QGP medium in high-energy heavy-ion experiments.
• 今井 渉平 (東大理)
  --- 光電場駆動された固体電子によるFourier限界アト秒パルス発生, Fourier-limited attosecond pulse generation from lightwave-driven electrons in solids
  強いレーザー光によって駆動された非平衡電子系は、高次高調波発生をはじめとする様々なアト秒領域の超高速現象を誘起する。しかし強電場によるトンネル励起過程や駆動中の波束分散過程の複雑さによって、固体電子系でアト秒オーダーのパルスを発生させる方法はいまだ確立されていない。我々は、Sauterポテンシャル中のmassive Dirac模型から得られる厳密解を拡張することで、バンド絶縁体中の電子波束のダイナミクスを制御する方法を確立し、理論限界に近いアト秒スケールの超短パルスを実現できることを示した。本研究は小野淳氏との共同研究に基づく。
• 神野 隆介 (東京大学)
  --- 高エネルギー初期宇宙における一次相転移と重力波生成, First-order phase transitions and gravitational wave production in the early Universe
  Over the next few decades, we will have an exciting opportunity to probe the early Universe with gravitational wave observations using space interferometers. A particularly interesting scenario is that of a first-order phase transition, in which bubbles of true vacuum nucleate, expand, and collide, involving the dynamics of surrounding plasma particles. In this talk, we review both the microphysical and macrophysical aspects of this scenario, from the high-energy physics that triggers phase transition to the production of gravitational waves and their observational prospects, and then discuss some recent developments.
• 宮本 克彦 (千葉大学)
  --- 光渦光源の開発と物質科学への応用, Topological Lightwave for Material Science
  光の角運動量には，円偏光の螺旋電場に由来するスピン角運動量，そして，光渦特有の螺旋波面に起因した軌道角運動量が良く知られている。光渦とは，トポロジカルな波面構造を有し，位相が一意に決まらない位相特異点を持つ光である。光渦がもつ螺旋波面は，方位角方向の位相変化を表す項exp(ilϕ)（l：トポロジカルチャージ）によって特徴づけられる．光渦の代表例であるラゲール・ガウスビームが軌道角運動量を有することは，1992年Allenらによって理論的に報告された。 高次ベッセルビーム，perfect vortexビームなども軌道角運動量を持つ光として，数多くの光渦が提案されており，その応用は物質科学をはじめとして分野横断的に注目を集めている。 本講演では，光渦に関する説明に続き，われわれが注目している軌道角運動量と物質の電磁気学的相互作用に関する応用例を紹介する。また，レーザー共振器，非線形光学効果などを用いた種々の光渦発生方法についても言及し，特に注目している周波数可変テラヘルツ・トポロジカル光波の発生についても紹介する予定である。
• 福島 理 (京大理)
  --- 高次対称性と固有状態熱化仮説, Higher-form symmetry and eigenstate thermalization hypothesis
  固有状態熱化仮説(ETH)は、孤立量子系における熱化の条件を与える枠組みである。本講演では、高次対称性の存在がETHにどのような影響を与えるかを議論する。特にp次対称性をもつ(d+1)次元の場の理論において、ある自然な仮定が満たされる時に(d-p)次元的なETHを破る演算子があることを示す。この議論をZ2格子ゲージ理論を例に取り数値的に立証し、さらにこの系がZ2 1次対称性を考慮した一般化Gibbsアンサンブルに緩和することを述べる。
• 鈴木 貴大 (情報通信研究機構)
  --- 時間周期的な摂動下での量子イジング模型のKibble–Zurek機構, Kibble–Zurek mechanism in the quantum Ising model with a time-periodic perturbation
  時間周期的な摂動の下での時間依存する横磁場イジング鎖を考える。摂動がない場合、この模型のキンク密度は量子Kibble–Zurek機構が予言する断熱極限でのスケーリングに従う有名なモデルの一つである。一方で，時間周期的な摂動が加わると、Landau–Zener模型のような単純な系ではダイナミクスが大きく変化することが知られている。そこで、横磁場イジング鎖のキンク密度を解析し、摂動がスケーリングにどの程度影響するかを議論する。
• 中村 真 (中央大学)
  --- 差動回転によるスピン流生成, Generation of Spin Currents from Differential Rotation
  本研究では時間・空間依存する回転速度をもつ一軸周りの回転(差動回転)を行う液体金属等における電子のスピン流生成について議論する。背景を構成する系の角運動量とその背景上の電子スピンの結合については磁気回転効果などの文脈で古くから議論されてきた。本研究では背景を構成する系が差動回転を行う場合のスピンの輸送について量子力学（シュレディンガー場の理論）の枠内で考察し、差動回転系におけるスピン流生成の新しい機構を提案する。本研究は船戸匠（慶應大学）、木下俊一郎（日本大学）、棚橋典大（中央大学）、松尾衛（中国科学院大 KITS）の各氏との共同研究に基づく。
• 岡田 和也 (高知大学)
  --- クーパートリプルの凝縮と回転・磁場への応答, Rotational and magnetic response of a condensate of Cooper triples
  中性子星の内部でのクォーク・ハドロンクロスオーバーをもたらしうるクーパートリプルの発現に着目し、クーパートリプルの凝縮状態が回転や磁場にどのように応答するかをギンツブルク・ランダウ理論を適用することにより探る。また、応答の結果生じる渦糸の構造から、クォーク超流動体とクーパートリプルの凝縮体との間で渦糸が接続する様子や、ハドロン超流動体とクーパートリプルの凝縮体がクロスオーバーする場合の渦糸のふるまいを論じる。
• 滑川 裕介 (広島大学)
  --- 複素変数格子シミュレーションによる符号問題への挑戦, Tackling the sign problem via lattice simulations based on complexification of field variables
  The sign problem is a bottleneck of important physics, such as QCD at finite density. Complexification of field variables is expected to be a key toward solving the sign problem. I will present our recent progress of lattice simulations based on complexification of field variables.
• 池田 龍 (千葉大)
  --- 格子ゲージ・スカラー模型の閉じ込め-Higgs相を分離するゲージ非依存な転移線, Gauge-independent transition line separating confinement-Higgs phase in the lattice gauge scalar model
  　基本表現のスカラー場を伴う格子ゲージ・スカラー模型については，Fradkin-ShenkerおよびOsterwalder-seilerによる解析的連続性についての定理により，単一の閉じ込め-Higgs相を有することがよく知られている。すなわち，閉じ込め領域とHiggs領域は解析的に連続した単一の相の一部をなし，これら2つの領域を隔てる熱力学的な相転移は存在しない。 　しかし，我々は新たな形式の演算子を定義することにより，閉じ込め領域とHiggs領域を完全に区別することを可能とした。そのような演算子は，元の理論のスカラー場と，Cho-Duan-Ge-ShabanovおよびFaddeev-Niemiによるゲージ場の共変分解に基づいてゲージ場から変数変換された場として得られる「カラー場」を，ゲージ非依存な手続きに沿って組み合わせることで構成される。 　特にSU(2)ゲージ群の場合において，我々は上記模型に対する数値シミュレーションをゲージ固定を課さずに実行した。その結果，弱ゲージ結合領域では既知の熱力学的転移線と一致し，強ゲージ結合領域では単一の閉じ込め-Higgs領域を閉じ込め相およびHiggs相の2相に分離するような新たな転移線が見出された。この新たな転移は数値計算の過程からゲージ固定を経ずに得られたため，ゲージ非依存な結果と見なすことが可能である。さらに，この講演では上記の新たな転移に対して，大域的(残留)対称性の自発的破れの視点に基づいた物理的な解釈を与える。
• 藤井 大輔 (原子力研究開発機構)
  --- T^2×R^2上のpure Yang-Mills理論における非等方圧力と相構造, Anisotropic pressure and phase structure in pure Yang-Mills theory on T^2×R^2
  熱場の量子論に対するMatsubara formalismは、ユークリッド時空の虚時間方向に沿った境界条件として理論に温度を導入する。本研究では、さらに空間方向に対して境界条件を課したT^2×R^2上のpure Yang-Mills理論を考え、熱力学量やその相構造について議論する。格子QCDシミュレーションによる結果[1]から、臨界温度付近で空間方向の広がりが著しく小さくなるまで、非等方性の効果が抑圧されることが示された。この格子QCDの結果を再現するように模型を構成することで、この系には非常に豊富な相構造の存在が示唆されることが明らかとなる。[1]Masakiyo Kitazawa et al, Phys. Rev. D 99, 094507 (2019)
• 横倉 諒 (慶應義塾大学)
  --- Generalized chiral instabilities, linking numbers, and non-invertible symmetries, Generalized chiral instabilities, linking numbers, and non-invertible symmetries
  We demonstrate a universal mechanism of a class of instabilities in infrared regions for massless Abelian $p$-form gauge theories with topological interactions, which we call generalized chiral instabilities. Such instabilities occur in the presence of initial electric fields for the $p$-form gauge fields. We show that the dynamically generated magnetic fields tend to decrease the initial electric fields and result in configurations with linking numbers, which can be characterized by non-invertible global symmetries. The so-called chiral plasma instability and instabilities of the axion electrodynamics and (4+1)-dimensional Maxwell-Chern-Simons theory in electric fields can be described by the generalized chiral instabilities in a unified manner. We also illustrate this mechanism in the (2+1)-dimensional Goldstone-Maxwell model in electric field.
• 岡林 史憲 (中央大学)
  --- Phase transition of moving defects in AdS/CFT correspondence, Phase transition of moving defects in AdS/CFT correspondence
  我々は非平衡定常状態の相転移における秩序変数の振る舞いをゲージ・重力対応を用いて調べた。従来、外力によって牽引されて摩擦力を受けながら一定速度で粒子が運動するような非平衡定常状態はGubserによってゲージ・重力対応を用いて解析されていたが、外部磁場が印加されたdefectが磁場方向に一定速度で運動するような非平衡定常状態をゲージ・重力対応で扱った例は知られていない。我々はそう言った非平衡定常状態をD3-D5系を用いて数値的に解析した。その結果、defect速度が大きいほどカイラル凝縮が小さくなり、対称性が回復することが確認された。また、本系の有効温度を導出の上、有効温度とカイラル凝縮の関係を数値的に調べたところ、有効温度が低下するほどカイラル凝縮の絶対値が小さくなり、カイラル対称性が回復することがわかった。これは平衡系では起きない非自明な結果である。
• 三浦 憂 (京大基研)
  --- 超対称格子Majorana模型における超対称性の破れと厳密な基底状態 – kink と skink, Supersymmetry Breaking and Exact Ground State in a lattice Majorana Model - kink and skink
  超対称性（SUSY）は素粒子物理学のみならず、凝縮系物理学やその他の非相対論的な系においても、乱れのある系、冷却原子系、トポロジカル絶縁体などの文脈で議論されている。格子模型では、Goldstinoの分散関係が三次になる特殊な例も知られている。 我々はスピンレス・マヨラナフェルミオンを用いた超対称格子模型を導入し、相互作用を加えたKitaev chain上で超対称性の破れの相図を調査する。その結果、パラメータの大きさによって少なくとも1回は超対称性が自発的に破れることを示す。また、平均場理論により、線形分散を持つNGフェルミオンの出現も示す。 特定のパラメータ値と周期的境界条件の下では、超対称性が厳密に破れないことを証明する。この場合、系の基底状態はKitaev chainのtrivial相とtopological相の縮退からなる。一方、同じパラメータ値で開放境界条件の下では、系の基底状態にはtrivial相とtopological相の間にkink状態が現れる。このkink状態は系のサイズに比例した縮退を持ち、超対称模型における基底状態の縮退現象であるスーパーフラストレーションの一例とみなすことができる。
• 川平 将志 (京大基研)
  --- 有限温度随伴Higgs系の相構造と1形式中心対称性, Phase structure and 1-form center symmetry of adjoint Higgs system at finite temperature
  Higgs機構は、古くより「ゲージ対称性の破れ」として理解されてきた。また、その破れの秩序変数は、通常Higgs場の真空期待値によって与えられるとされている。 しかし、ゲージ固定を行わない記述においては、Elitzurの定理より、Higgs場の真空期待値は常にゼロになることが知られている。よって、ゲージ不変な方法でのHiggs相転移の記述は、興味深い問題である。 Higgs場が随伴表現に従うときには、ゲージ群の中心を1形式大域対称性として捉えることができる。本発表では、この1形式大域対称性に着目し、随伴Higgs場を含む有限温度SU(N)ゲージ理論での相構造を議論する．
• 越智 一成 (高知大学)
  --- 超流動量子渦中でのボースポーラロンの基底状態の性質, Ground state properties of a bose polaron trapped in a quantum vortex core
  媒質中に埋め込まれた不純物粒子は、周りの素励起との相互作用によりポーラロン準粒子を形成し、冷却原子系では、その性質が盛んに議論されている。量子渦を伴うボソン超流動体中の素励起にはフォノンモードに加えて、渦構造に束縛されたケルビンモード(量子化版をケルボン)が存在し、束縛された不純物粒子は、これらと相互作用し、纏うことでボースポーラロンを形成する。本研究では、斥力相互作用するボソン超流動体における、単一の量子渦に束縛された不純物粒子の基底状態の性質を明らかにする。
• 鹿野 豊 (群大理工, Inst. Quant. Studies, Chapman Univ.)
  --- 精度保証付量子計算アルゴリズム～電子状態計算を例にして～, Precision-Guranteed Quantum Computing Algorithm as example of electronic structure calculation
  ポスト-ハートリー-フォック法と呼ばれる電子状態計算は、量子計算機のアルゴリズムの中で非常に有益なものとして挙げられることが多い。しかし、これまでのアルゴリズムだけでは現在の計算機では計算できなくなった領域での計算結果に関して、根本的に信頼することが出来ない。そのため、我々は真のハミルトニアンの基底状態エネルギーから任意の精度で計算結果を保証してくれる精度保証付き量子計算アルゴリズムを提案した。
• 田中 智啓 (東京工業大学)
  --- 1次元弱結合ボース気体における熱伝導率, Thermal conductivity of a weakly interacting Bose gas in quasi-one-dimension
  ２体相互作用を伴う１次元量子系は可積分性を持ち、それゆえに輸送係数が発散する。しかし、３次元ボース気体をトラップすることで擬１次元系を実現した場合、有効的な３体相互作用が現れ、可積分性が破られる。本講演では、この３体相互作用を考慮に入れ、１次元弱結合ボース気体の熱伝導率を久保公式により計算した研究について発表する。
• 花井 奏太 (慶應義塾大学)
  --- 2フレーバーカラー超伝導相におけるカラーフラックスチューブ, Color flux tube in two-flavor color superconductivity
  2フレーバーカラー超伝導相において、そのギャップよりも十分低エネルギーの物理は SU(2) pure Yang-Mills理論で記述される。その閉じ込め相では、Wilsonループに対応するカラーフラックスチューブが準安定に存在すると期待できる。本講演では、そのカラーフラックスチューブの性質について議論する。
• 菅野 聡 (筑波大学)
  --- レプリカ交換の手法を用いたアルゴリズムと行列幾何学, Extension of Monte Carlo algorithm by using replica exchange method and matrix geometry
  いくつかの異なる温度のコピーをレプリカといい、モンテカルロ法においてレプリカ間の入れ替えを行う方法をレプリカ交換法という。 このような複数の温度間でのレプリカ交換法を用いたアルゴリズムは極小解が存在する最小化問題に有用である。 しかし、極小解の構造が豊かになると通常のアルゴリズムでは計算に時間がかかり、更なる効率化が求められる。 本発表では、レプリカ作用の取り方とレプリカ交換過程に工夫をすることで効率化を図ったことについて議論する。 さらに、この手法により行列模型の配位に対応する幾何をより明確に決定できると期待されることを議論する。
• 三浦 大輝 (新潟大学)
  --- 相対論的複素スカラー場の熱力学的性質に対する化学ポテンシャル勾配からの影響の解析, Analysis of chemical potential gradient effects on thermodynamic properties of relativistic charged scalar field model
  本講演では, 場所依存した化学ポテンシャルがもたらす熱力学量への効果に関して，有限温度場の量子論に基づいた研究について発表する．具体的には，熱平衡状態に対する虚時間形式を相対論的複素スカラー場に適用する．そして化学ポテンシャル勾配が強い時に分配関数や粒子数密度といった熱力学量に対する勾配効果を検討する．
• 林 優依 (京大基研)
  --- Higgs-confinement continuity in light of particle-vortex statistics, Higgs-confinement continuity in light of particle-vortex statistics
  近年，超流動性を有するゲージ理論について，「Higgs的領域での超流動渦周りのAharonov-Bohm phaseが非自明な値を持つこと」 (nontrivial particle-vortex statistics) がHiggs-閉じ込め間の転移を意味するのではないか，ひいてはQCD相図の核子超流動相とカラー超伝導相間の相転移を意味しているのではないか，という議論がある．そこで本研究では，関係する格子模型での解析的な計算により，Higgs-閉じ込め間をつなぐ領域でAharonov-Bohm phaseが連続であることを示し，相転移が必要でないことを主張する．特に，これは核子超流動相からカラー超伝導相へのクロスオーバーのシナリオ（クォークハドロン連続性）の可能性を支持する．
• 橋爪 洋一郎 (東京理科大学)
  --- エンタングル状態の熱的緩和に関する現象論的解析, Phenomenological Analysis of Relaxation Process of Entangled States
  エンタングルメント状態は量子系の特徴的な状態の一つとしていろいろなところで見ることができる．これは量子状態であるために，通常は基底状態での研究がなされることが多いが，例えば，初期状態をシングレット状態として，有限温度の緩和過程を経たときに，エンタングルメントエントロピーなどがどのように緩和していくのかを示すことができると，有限温度での量子系のコントロールなどに有益である． 我々は，最近，現象論的な方法で量子系の熱的緩和やカレントを扱うことのできるリンドブラッド方程式を解析している．発表ではこの方法の詳解を含めて，エンタングル状態の緩和について解析した結果を報告する．
• 甘利 悠貴 (慶應義塾大学)
  --- スピン軌道相互作用を有する冷却原子系における$CP^2$スキルミオン結晶とその派生相, $CP^2$ Skyrmion crystal and its relatives in spin-orbit coupled cold atom systems
  スピン軌道相互作用を有する冷却原子系におけるスキルミオン結晶やその派生物であるスキルミオニウム結晶などについて講演する。この系は低エネルギー領域おいて、ジャロシンスキー守屋相互作用を含んだSU(3)スピン模型によって記述され、相互作用の強さによりスキルミオン結晶やスキルミオニウム結晶など、様々な種類の非自明な基底状態をもつ。本講演では、得られた基底状態の性質を、スピン構造因子などを用いて詳細に議論する。
• 村瀬 功一 (京大基研)
  --- 相対論的流体力学における安定・高精度な数値手法, Stable and efficient schemes for relativistic hydrodynamics
  相対論的流体力学を数値的に安定に解くための方法について、最近の N. Touroux, M. Kitazawa, M. Nahrgang らとの共同研究に基づく進展、および、相対論的な系特有の数値スキームの定式化などについて概観する。連続の場で書かれる流体方程式を計算機上で取り扱うためには空間方向・時間方向の両方に離散化が必要となる。これまで余り議論されてこなかった時間離散化の安定かつ高精度な離散化を調べた。数値コストが高いと思われがちな陰的ルンゲ・クッタ法に対して局所最適化手法を提案し、陽的手法よりも高精度かつ高効率な結果が得られることを実証する。他にも、曲がった座標系における保存則の取り扱いや、相対論的な系特有の拘束条件の取り扱いについて議論する。
• 門内 晶彦 (大阪工業大学)
  --- 高エネルギー原子核衝突におけるQCD状態方程式の現象論, Phenomenologies of QCD equation of state in high-energy nuclear collisions
  高エネルギー原子核衝突によって生成されるQCD媒質は流体的に振る舞うと考えられており、状態方程式によって特徴付けられる。本発表では、媒質を構成しているとされる低運動量成分のみを取り入れた現象論的な状態方程式に基づく赤色流体モデルを構築し、数値計算を通して現象論への影響を論じる[1]。[1] A. Monnai, arXiv:2301.00588 [nucl-th] (to appear in J. Phys. G)
• 小野田 壮真 (九大)
  --- 格子上の２次元コンパクトスカラー理論における磁気的演算子の構成, Magnetic operators in 2D compact scalar field theories on the lattice
  格子上でwell-definedなトポロジカル電荷を得るには場の配位がadmissibility条件を満たしていることが不可欠である。しかし、この条件は自動的にBianchi恒等式を保証するため、素朴には磁気的演算子の存在を禁止してしまうかのように思われる。この講演では格子上の２次元コンパクトスカラー理論においてこの困難がどのように解決されるか説明する。また、その構成の応用として、電気的対称性と磁気的対称性に付随する't Hooft anomalyやWitten効果が格子上でどのように定式化されるかについて説明する。
• 野中 千穂 (広島大学)
  --- 形状ベースクラスタリング手法を用いた 有限密度格子 Gross-Neveu 模型の相分類, Analysis on phases in the Gross-Neveu Model on the lattice with shape-based clustering method
  量子色力学 (QCD) の相図の解明は原子核物理学、ハドロン物理学で重要なテーマの一つであ る。特に低温高密度領域の相構造については、有効模型を用いた解析により様々な相の可能性が 挙げられている。その一つとして、低温高密度領域における非一様なカイラル凝縮相がある。カ イラル凝縮の関数形を決定する一般的な手法はまだ確立されておらず、振動解や空間依存しない 一様な解を仮定することが多い。一方で、低温高密度領域では、符号問題により第一原理計算で ある格子 QCD 計算はモンテカルロ積分が正しく実行できない。しかし、QCD に似た性質を持 つ 1+1 次元 Gross-Neveu(GN) 模型は符号問題がなく、格子計算が可能である。 近年、格子上の 1+1 次元 GN 模型および 1+1 次元カイラル GN 模型の非一様相について興味 深い研究 [1,2,3] がなされている。それらの研究では、格子計算を用いて配位を計算し、配位の相 関関数を用いて相の分離と非一様相の性質を引き出している。本研究では、教師なし学習である 形状ベースクラスタリングの手法を用いる。このクラスタリング手法を用いてカイラル凝縮の空 間依存性の推定と相の分類を行う。
• 三浦 光太郎 (KEK)
  --- 強結合格子QCDから複素Langevinまで: 大西先生に導かれて, From Strong-Coupling Lattice QCD to Complex Langevin: Ohnishi-san as if a Polestar
  大西明先生との出会いは、格子QCDにおける強結合展開の共同研究に始まる。そして現在進行形の複素Langevin法に基づく高密度QCDの研究もまた、大西先生からの誘いによって参加するに至った。いつの間にか、良き方向に導かれ、然るにどうにか、物理コミュニティの隅に留まれた様に思われる。これらの経験を振り返り、大西先生を偲ぶと共に、意思を引き継いで素粒子 - 核物理を発展させるにはどうするべきか、考える機会を共有したい。
• Lozanov Kaloian (Kavli IPMU, University of Tokyo)
  --- Induced gravitational waves from inflaton oscillons, Induced gravitational waves from inflaton oscillons
  We present a new way to study inflation with gravitational waves. The gravitational signal is generated thanks to nonlinear structures in the inflaton field, called oscillons. This novel probe allows us to test models of inflation which are challenging to test with CMB experiments.

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