TQFT 2021 Abstracts
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- 宮川 侑樹 (九大理)
--- ベクトル型ゲージ理論に対するゲージ不変な厳密くりこみ群方程式, Gauge invariant exact renormalization group equation for vector-like gauge theory
近年、ゲージ理論・重力理論におけるWilson流厳密くりこみ群の非自明固定点の周りで定義される場の量子論が注目されている。しかし、通常の厳密くりこみ群では、運動量切断を用いるため、くりこみ群変換が明白なゲージ不変性を保てない。本講演では、グラディエントフローを用いてこの困難を純ヤン-ミルズ理論に対して解決した園田と鈴木の先行研究を拡張し、フェルミオンを含んだベクトル型ゲージ理論における明白にゲージ不変な厳密くりこみ群方程式を導出し、その性質を議論する。
- 世田 拓也 (京大理)
--- 量子相転移とリサージェンス:3次元N=4超対称QEDからの教訓, Quantum phase transition and Resurgence: Lessons from 3d N=4 SQED
近年リサージェンス理論という,摂動級数から非摂動効果を解読する理論が注目されている.本講演ではリサージェンス理論と相転移現象の関係を明らかにするため,リサージェンス理論の観点から3次元N=4超対称QEDの二次相転移を記述する.その教訓として,二次相転移がストークス現象と反ストークス現象が同時に起きる現象だと理解できること,より一般の相転移次数が"鞍点の衝突角"から判定できること,そしてこれらが摂動級数から解読できるということを得る.
- 野中 千穂 (名古屋大学)
--- Inhomogeneous phases in the chiral Gross-Neveu model on the lattice, Inhomogeneous phases in the chiral Gross-Neveu model on the lattice
Understanding of the QCD phase diagram is one of important topics in nuclear and hadron physics. In particular, various possible phase structures are proposed from analyses of effective theories in low temperature and high density region. One of them is inhomogeneous chiral condensate which exhibits characteristic space structures. Since there is no general established method for determination of the structure of the chiral condensate, usually some solutions such as chiral spiral and kink solutions are assumed. On the other hand, the Monte Carlo method in lattice QCD does not work in the low temperature and high density region, because of existent of the notorious sing problem. However, the usual lattice calculation is applicable to the 1+1 Gross-Neveu (GN) model and chiral GN model that have similar property of QCD, since they do not have the sign problem at finite density. Recently the interesting phase structure of the inhomogeneous chiral condensate in the 1+1 dimensional GN model on the lattice has been presented [1].
Here we study the phase structure of the 1+1 dimensional chiral GN model, performing the lattice simulation. Advantage of using the Monte Carlo method is that one can investigate the general space structure of the sigma and pion condensates without any assumption of it. We will discuss the phase diagram of the chiral GN model with finite number of flavors, comparing that of the GN model with finite number of flavors.
[1] J. Lenz, L. Pannullo, M. Wagner et al., Phys. Rev. D 101, no.9, 094512 (2020).
- 中井 雄介 (京大基研)
--- 1次元非エルミート表皮効果に対する乱れの効果, The effects of disorder in Non-Hermitian skin effect in one dimension
非エルミート系とは系のハミルトニアンが有効的に非エルミートで記述される系のことを指し、外部環境と粒子やエネルギーのやりとりをしている非平衡開放系において実現する。非エルミート系特有の現象として、非エルミート表皮効果と呼ばれる現象がある。これは系の状態が端に局在することで、系に課す境界条件によってエネルギースペクトルが大きく変わる現象である。これまでの表皮効果の研究は乱れを含まない離散並進対称な系において行われてきた。しかし、現実の系は不純物や格子欠陥などの乱れを含むので、乱れの存在により表皮効果がどのような影響を受けるかを調べることは重要な課題である。本研究では、離散並進対称性が破れている1次元系における表皮効果を特徴づけるトポロジカル数を具体的に構成することで、乱れを含む系における表皮効果についての議論を行う。
- 金谷 和至 (筑波大宇宙史センター)
--- Four quark operators for kaon bag parameter with gradient flow, Four quark operators for kaon bag parameter with gradient flow
B中間子バッグパラメータB_K_は、CP対称性の破れをK中間子振動から抽出する上で鍵となる量で、格子QCDによる非摂動論的評価が重要だが、格子上のカイラル対称性の破れのために、従来の方法では精密な評価が難しかった。最近、gradient flow を応用したSFtX法(small flow-time expansion method) が開発され、有限温度QCDの状態方程式やカイラル感受率などの計算で有用であることが示された。SFtX法は、gradient flow で平準化した演算子の有限性を活用して連続極限のくりこまれた物理量を格子で評価する一般的な計算手法で、従来の方法では難しい物理量にも応用可能である。SFtX法では、物理量を平準化した演算子で書き下すために、両者を結びつけるマッチング係数を摂動計算しておく必要がある。我々は、SFtX法をクォーク4次演算子に拡張して、B_K_の評価に必要なクォークの2次演算子と4次演算子のマッチング係数を計算した。
- 花井 奏太 (慶大理工)
--- 中性子星・超新星のカイラル輸送現象に起因した重力波, Gravitational Waves Caused by Chiral Transport Phenomena in Neutron Stars and Supernovae
中性子星や超新星の内部構造の探求は,超高密度な物質の理解において重要な課題である.星震学では,天体の星震(地球で言う所の地震)を解析することでその内部の状態を推測する.この振動は圧力に起因するp-モード,浮力によるg-モードなど,その起源により分類されている.特に中性子星や超新星のようなコンパクト天体からは,星震に伴って重力波が放出されると考えられている.
一方で,超高温・超高密度な系では相対論的なフェルミオンが実現しており,そのカイラリティに由来する新たなタイプの輸送現象であるカイラル輸送現象が現れる.磁場の方向に誘起されるカレントをカイラル磁気効果,系の回転によって誘起されるカレントをカイラル渦効果という.
以上のカイラル輸送現象に伴ってカイラル磁気波やカイラル渦波が発生する.これらのカイラル波は,重イオン衝突実験の文脈で盛んに議論されてきたが,中性子星や超新星内部でも,超高密度状態が実現しているため,このようなカイラル波の存在が予言できる.そしてこのカイラル波の振動によって重力波が放出されると期待できる.本講演では,このような新たな2つの重力波を,以下の設定で議論する:
(1) 中性子星内部の一様磁場中の電子物質やクォーク物質におけるカイラル磁気波による重力波,
(2) 回転する超新星内部のニュートリノ物質におけるカイラル渦波による重力波.
- 森田 健 (静岡大学)
--- Bootstrap法を用いた量子論の数値解析, New numerical approach to quantum physics via bootstrap
量子力学や場の量子論を, 数値bootstrap法で解析する手法が近年提唱されている. この手法は, Schwinger-Dyson方程式を数値的に評価するもので, 特にLarge-N理論においてはかなり強力な解析手法となり得る. その一方で, 評価するのが難しい物理量もいくつか見つかった. この講演ではこれらbootstrap法の優れた点と弱点について紹介する.
- 滑川 裕介 (京大基研)
--- Gauge invariant input to neural network for path optimization method, Gauge invariant input to neural network for path optimization method
We investigate efficiency of a gauge invariant input to a neural network for the path optimization method. The efficiency is evaluated for the 2-dimensional U(1) gauge theory with a complex coupling and a theta-term.
- 末永 大輝 (阪大RCNP)
--- 2カラーQCDにおけるダイクォーク凝縮によるカイラル分離効果の抑制, Suppression of chiral separation effect by diquark condensate in two-color QCD
格子QCD計算が可能な2カラーQCDは、高密度QCDの性質を調べる「数値実験場」として非常に有用である。本研究では、2カラーQCDのダイクォーク凝縮相中における、外部磁場によって軸性カレントが発生する現象である「カイラル分離効果」を、有効理論を用いて調べた。その結果、ダイクォーク凝縮の存在がbulkのカイラル分離効果の大きさを、先行研究で議論されてきた値の1/3に抑制することを発見した。この大きな抑制は、ダイクォーク凝縮が持つトポロジカルな性質によって引き起こされる、boundaryの「フェルミオンゼロモード」の存在と関連していると期待される。
- 土屋 俊二 (中大理工)
--- 粒子-正孔対称な超伝導体中のZ2対称性の破れに伴うマルチヒッグスモード, Multiple Higgs modes due to spontaneous breakdown of Z2 symmetry in a particle-hole symmetric superconductor
ヒッグスモードは秩序パラメタの振幅の揺らぎの集団モードであり、様々な物性系や素粒子の標準模型に現れる。一般にヒッグスモードは、連続対称性の破れに伴い現れると考えられている。本研究では、超伝導体のヒッグスモードが、連続対称性ではなく離散的なZ2対称性の破れにより現れることを示す。また、超伝導体中には、これまで知られているヒッグスモードに加え、ヒッグスモードに類似した複数のギャップを持つ集団モードが存在することを示す。
- 河村 泰良 (慶大理工)
--- 熱浴を用いたフェルミ面の制御と非平衡FFLO状態の実現, Fermi-surface reservoir-engineering and realization of a non-equilibrium FFLO state
Cooper対が有限の重心運動量を持つFulde-Ferrell-Larkin-Ovchinnikov(FFLO) 状態は、磁場中の超伝導体をはじめ、スピン偏極した冷却Fermi原子ガス系やカラー超伝導など様々な系で議論されてきた。一般にこのFFLO状態は、Cooper対を形成する成分間のFermi面の「ずれ」により安定化することが知られている。しかしながら、我々は系を非平衡状態に駆動することで成分間のFermi面のずれがなくてもFFLO状態が安定化することを見出した。本発表では、熱浴を用いたFermi面の制御の視点からこの非平衡FFLO状態のメカニズムについて説明する。また、このFFLO状態に対する対形成揺らぎの影響についても議論する。
- 堀越 優弥 (新潟大自然)
--- U(1)格子ゲージ理論の閉じ込めとグラディエントフロー, Gradient flow and confinement in U(1) lattice gauge theory
格子ゲージ理論におけるグラディエントフロー法では、作用を小さくするように
粗視化され、粗視化が進むと場の強さは非常に小さくなる。しかし、閉じ込め相
の配位からフローさせた配位は閉じ込めの性質を維持している。それは一見奇妙
で、粗視化に対して安定な何かが閉じ込めの性質の背後にあることを予見させ
る。この講演では群のコンパクト性に起因した磁気単極子が重要な役割をする
U(1)格子ゲージ理論を例に、グラディエントフローと磁気単極子の関係を議論する。
- 寺崎 文雄 (理科大)
--- 汎関数くりこみ群方程式による局所ポテンシャル近似を超えた有限温度カイラル相転移の解析, Functional renormalization group study of finite-temperature chiral phase transitions beyond the local potential approximation
温度・密度に対するクォーク物質の状態の変化を記述する QCD 相図は、初期宇宙や中性子星内部に関わる領域を含むために、その全容の解明は重要である。本研究では QCD の有効模型として O(4)-モデルを採用し、量子ゆらぎの 効果を考慮できる汎関数くりこみ群方程式により有限温度のカイラル相転移を 解析する。先行研究で多く用いられる局所ポテンシャル近似(LPA)を超えた計算として、波動関数のくりこみ定数のスケール依存性を考慮し、この量がカイ ラル相転移に及ぼす影響を調べた。
- 中野 裕義 (慶大理工)
--- 一様せん断流下にある二次元表面上での連続対称性の破れと長距離秩序, Emergence of surface long-range order under uniform shear flow
三次元物体は二次元表面を持つ。表面は周辺の環境と強く相互作用するために物体内部とは異なる臨界現象を示す。本発表では、表面以外が無秩序状態にあって表面だけ長距離秩序を持っている状態を、無限に広がった平坦な二次元表面に関して議論する。連続対称性と関連する長距離秩序に注目すると、平衡状態では二次元系での連続対称性の破れはマーミン・ワグナーの定理によって禁止されるから、表面だけオーダーすることはない。しかしながら、表面に平行に一様せん断流を加えると、表面内に特殊な非平衡揺らぎが発生し、マーミン・ワグナーの定理を逃れることができる。この揺らぎは表面内に流れがなくてもその外側の流れによって誘起される。その結果、表面上で連続対称性が破れ長距離秩序が安定化する。この結果をO(N)モデルの理論解析から明らかとする。
- 田島 裕之 (東大理)
--- 3体共鳴近傍における3成分フェルミ原子気体のクーパートリプルから3体束縛分子へのクロスオーバー, Crossover from Cooper triples to bound trimer states in a three-component Fermi gas near a triatomic resonance
2成分フェルミ原子気体におけるBCS-BECクロスオーバーの実現は当該分野の大きなブレイクスルーとなった。
このクロスオーバーは2体共鳴に対応するユニタリー極限近傍で起きる現象であり、その普遍性も注目を集めている。
本研究では、2体引力相互作用を有する3成分フェルミ原子気体における3体共鳴(3体束縛状態が現れ始める相互作用強度)近傍で
類似のクロスオーバーが現れることを変分法を用いて議論する。
特に、弱結合側ではクーパーペア形成とその3体版であるクーパートリプル形成が競合し、
強結合側では2体引力相互作用が強くなるにつれてクーパートリプルが3体束縛分子へと連続的に変化する様子を紹介する。
- 花田 政範 (University of Surrey)
--- Global symmetry and partial confinement, Global symmetry and partial confinement
We study the relationship between color confinement and spontaneous breaking of global symmetry (specifically, chiral symmetry and CP symmetry) in large-$N$ gauge theories. Recent development revealed the existence of partially-confined phase that lies between completely-confined and completely-deconfined phases. The conventional wisdom based on anomaly matching tells us that the chiral symmetry is broken in the "confined" phase. A similar argument holds for the CP symmetry, at theta=pi. But does "confinement'' have to be complete confinement, or is partial confinement sufficient? We conjecture that the global symmetry breaks when the partial confinement sets in. We provide the evidence by studying two concrete examples: the chiral symmetry in the strong-coupling lattice gauge theory and the CP symmetry in the mass-deformed SU(N) super Yang-Mills on R^3*S^1 at theta=pi. The breaking of global symmetry may be a good characterization of partial confinement at finite N.
- 岩崎 愛一 (二松学舎)
--- 超伝導体を用いた暗黒物質アクシオンのあたらしい探査法, a new method for detecting dark matter axion using superconductor
暗黒物質アクシオンの探査は、現在世界中で多数進行中である。ここで述べる探査法は、従来のアクシオンによるシグナルの強さを5桁以上も増幅できる。磁場中で、超伝導体中のアクシオンは、その表面で振動する電場を作り、クーパー対を振動させる。その振動はコヒーレント故に、そのクーパー対から強い電波が放射される。それは、現在最高感度を誇るワシントン大学のADMXが使用する共鳴管中の電波の強さより、5桁以上の強い電波である。ハンブルグ大学のアクシオン探査グループBRASSが、5年前から探査計画を進めてきたが、私の提案を採用して、その一部を変更し現在探査実験を進めている。非常にゆっくりとした進展しかなかったアクシオン探査であるが、この探査法でそれは一気に進むと期待される。
- 横倉 諒 (KEK)
--- Topological axion electrodynamics and 4-group symmetry, Topological axion electrodynamics and 4-group symmetry
We study higher-form symmetries and a higher group in (3+1)-dimensional axion electrodynamics where the axion and photon are massive. A topological field theory describing topological excitations with the axion-photon coupling is obtained in the low energy limit, in which higher-form symmetries are specified. By using intersections of the symmetry generators, we find that the worldvolume of an axionic domain wall is topologically ordered. We further specify the underlying mathematical structure elegantly describing all salient features of the theory to be a 4-group.
- 星野 裕一 (早大理工総研)
--- 3次元QEDの有限温度相転移, Critical Behavior in QED3 at finite temperature
(2+1)次元QEDの有限温度のfermionのmassのダイソン方程式の解の解析的な形を得ました。転位温度の下でBKTscalingしております。この結果はクーロンゲージによるものです。
- 高橋 淳一 (早大基幹理工)
--- 粒子密度分布のみを用いた2ポーラロン間非局所相互作用の推定法, Estimation of nonlocal interactions between two polarons using only density distribution
冷却原子系で実現した原子ポーラロン間の相互作用はRKKY型など非局所的になることが知られている。この非局所相互作用については実験において検証が行われているが、現状、間接的な証拠の観測に留まっており直接的な観測には至っていない。本研究では、衝突実験を想定し、その透過波密度から量子ポテンシャルを計算することで非局所相互作用が推定可能であることを示す。
- 秋山 進一郎 (筑波大学)
--- Tensor renormalization group approach to (1+1)-dimensional Hubbard model, Tensor renormalization group approach to (1+1)-dimensional Hubbard model
Tensor renormalization group (TRG) approach is a variant of the real-space renormalization group to evaluate the path integral in the thermodynamic limit, without resorting to any probabilistic interpretation for the given Boltzmann weight. Moreover, since the TRG can directly deal with the Grassmann variables, this approach can be formulated in the same manner for the systems with bosons, fermions, or both of them. These advantages of the TRG approach have been confirmed by the earlier studies of various lattice theories, which suggest that the TRG potentially enables us to investigate the parameter regimes where it is difficult to access with the standard stochastic numerical methods, such as the Monte Carlo simulation.
In this talk, we explain recent our numerical study of the (1+1)-dimensional Hubbard model with the TRG approach. Our results of the critical chemical potential and the critical exponent $\nu$ are consistent with the exact solutions obtained by the Bethe Ansatz.
- 田中 瑞樹 (大阪大学)
--- グラディエントフローによる3次元O(N)スカラー模型の固定点の解析, Analysis of fixed point in 3-dimensional O(N) scalar model using gradient flow
グラディエントフローとは、場に拡散方程式を作用させることで新しい時間次元の方向に場を発展させる手法であり、有限温度格子QCDにおける状態方程式などの物理量の数値計算において非常に有用な手法である。一方、Makino、Morikawa、Suzukiによる先行研究において、グラディエントフローは、場を粗視化して理論のパラメータの変化を見るというWilsonのくりこみの考え方に類似しているということを指摘し、実際にLarge-N極限における3次元O(N)スカラー模型のパラメータのフロー及びWilson-Fisher固定点を再現している。本研究では、固定点周りでのフローの振る舞いに注目し、3次元O(N)スカラー模型の臨界指数の導出を行う。さらに、有限のNにおいて格子シミュレーションを行い、臨界指数のN依存性について調べる研究についても報告する。
- 伊藤 広晃 (阪大理)
--- 実スカラーφ^4模型におけるソリトン近傍のエネルギー運動量テンソルと量子ゆらぎ, Energy momentum tensor and its quantum correction around a soliton in real scalar φ^4 model
本研究では、ソリトンの量子効果がエネルギー運動量テンソル(EMT)に与える補正を調べるために、1+1及び2+1次元の実スカラーφ^4模型に現れるキンクの解析を行う。
特に、2+1次元では固定境界条件を課し、この系のEMT分布を古典的なソリトン解周りで、量子補正の最低次まで取り込んで計算する。
- 早田 智也 (慶應義塾大学)
--- 非平衡ハバード模型の量子モンテカルロシミュレーション, Quantum Monte Carlo simulation of a nonequilibrium Hubbard model
熱浴との相互作用や測定に伴う散逸下の量子多体系の非摂動的な性質を精密に記述することは非常に重要かつとても難しい問題である。本講演では、次の2つの問題に量子モンテカルロ法を適用した我々のシミュレーション結果を紹介する: (i)非エルミートハバード模型の基底状態における散逸(非エルミート性)に誘起される量子相転移。(ii)リンドブラッド型の量子マスター方程式に従うフェルミオン系の実時間発展。
- 松本 匡貴 (上海大)
--- AdS/CFT対応による電流駆動型の三重臨界点と臨界現象, Current drive tricritical point and critical phenomena in AdS/CFT correspondence
AdS/CFT対応を用いて定常電流が存在する非平衡定常状態においてカイラル対称性の破れに関する三重臨界点が発見されている。本研究ではこの非平衡相転移における二次相転移点および三重臨界点での臨界現象を調べた。
- 宮地 克典 (名大理)
--- 流体からの熱輻射に対するハドロン再結合光子の影響, The effect of radiative hadronization on thermal radiation from hydrodynamical model
RHIC、LHCで遂行されている高エネルギー原子核衝突実験での話題の一つに「光子パズル」がある。光子パズルとは実験で観測された直接光子の生成量と楕円フローを同時に説明できる理論計算がまだ存在しないという問題である。
本研究ではまず、熱的光子を相対論的粘性流体と分子動力学計算を組み合わせた模型を用いて求める。ここに、放射ハドロン化模型によるハドロン再結合光子の寄与を加える。結果、直接光子の生成量と楕円フローの実験結果を同時に再現することに成功した。放射ハドロン化模型は光子パズルの解明になり得ることを示した。
- 春名 純一 (京大理)
--- Burgers Equation vs. Large N Limit in TTbar-deformed O(N) Vector Model, Burgers Equation vs. Large N Limit in TTbar-deformed O(N) Vector Model
本講演では静的ゲージのNambu-Goto作用と古典的に等価な,TTbar変形されたO(N)ベクトル模型を取り扱う.この模型の熱的自由エネルギー密度はTTbar変形の特殊な性質であるBurgers方程式を用いて正確に計算することができる.ここで得られた式は任意のNの値に対して厳密に成立する.
さらにその表式が有効な範囲内でラージN極限を考えることができるが,我々はこの極限における熱的自由エネルギー密度を場の理論的な方法で直接導くことを試みた.
その結果,ラージN展開の主要項が厳密な結果と一致することを発見した.これは1/N補正が自明ではないメカニズムにより打ち消されていることを示唆する.
- 橋爪 洋一郎 (東京理科大学教養院)
--- 熱場ダイナミクスに拡張された縮約密度行列に対するフィッシャー計量の解析, Analysis of Fisher metric for a reduced density matrix extended to thermo-field dynamics
系を記述するヒルベルト空間に対して,それと同型な空間(チルダ空間)を用意し,元の空間(オリジナル空間)との直積をとった空間は,2重ヒルベルト空間と呼ばれ,そこでのダイナミクスを熱場ダイナミクスという.熱場ダイナミクスでは有限温度での状態を直接追跡できるという点で状態ベクトルそのものの有効性があることが知られている.一方で,2重ヒルベルト空間に拡張された密度行列がどのような情報幾何学を構築するかについてはあまり知られていない.発表では散逸過程を例として,拡張された密度行列を縮約した際のフィッシャー計量や関係諸量がどのようにふるまうかについて検討した結果について議論したい.
- 山田 晃弘 (慶大理工)
--- レーザー下におけるQCDのカイラルソリトン格子, Floquet vacuum engineering: laser-driven chiral soliton lattice in the QCD vacuum
十分に大きな強度と周波数を持つ時間周期的な円偏光レーザーが印加されるとQCD真空はどうなるだろうか?Floquet理論とQCDの系統的な低エネルギー有効理論に基づいて、十分に大きな周波数と強度を持つレーザーの下ではQCD真空はパイ中間子のカイラルソリトン格子に対して不安定になることを示す。
- 横田 猛 (理化学研究所)
--- 汎関数くりこみ群による古典液体の解析手法の開発, Development of functional-renormalization-group method for classical liquids
水をはじめとする古典液体の効率的、高精度な解析手法の開発は物性、化学計算の重要な課題として長年研究されてきた。今回我々は汎関数くりこみ群を用いた古典液体の解析手法を開発した。従来の古典液体に対する汎関数くりこみ群のアプローチでは短距離斥力を取り入れるために参照系の知識が必要であったが、我々はキャビティー分布関数を導入することで、参照系の知識に依存しない手法を開発した。この方法を1次元の厳密に解ける系に応用し、ハイパーネッテッドチェーンやPercus-Yevick方程式などのよく使われてきた手法と比べ熱力学量や分布関数を精度良く予言できることを示した。
- 渡辺 展正 (筑波大学)
--- 基本スカラー場を含む行列模型における部分閉じ込め, Partial deconfinement for a matrix model with fundamental scalars
ラージNゲージ理論の有限温度系では非閉じ込め相転移が起こる場合があるが、閉じ込め相と非閉じ込め相の中間領域で両者が共存する「部分閉じ込め(partial deconfinement)」という現象が近年示唆されている。弱結合な理論での具体例の構成に加え、先行研究である0+1次元の行列模型の数値計算では弱結合領域を超えても二相共存が起こることを確認した。本発表では行列模型に基本スカラー場も導入した模型を解析的・数値的に調べ、相構造や部分閉じ込めなどの議論を紹介する予定である。特に数値解析では先行研究で構成した手法を適用し、場の自由度に着目した二相共存の解析について報告する。
- 松尾 大和 (広大院理)
--- シンプレクティック数値積分法を応用したカメレオン機構のpreheatingへの寄与の解析, Study of chameleon mechanism on preheating by hybrid symplectic integration
F(R)重力理論では、重力を記述する計量に加えて新たなスカラー場が現れ、相互作用する物質場のエネルギーの増加に伴って有効質量が増加するというカメレオン機構が知られている。R^2インフレーションではこのスカラー場がインフラトンと同定されるため、この模型においてもカメレオン機構が働くと考えられる。冷たいインフレーションに基づくと、インフレーションの構造そのものにカメレオン機構の寄与は現れないが、インフレーション後の粒子生成においてはその効果を正しく評価する必要がある。摂動論的な効果であるreheatingでは、カメレオン機構が働いてもR^2インフレーションにおけるインフラトンの質量はほぼ変化せず、この効果による影響は少ないと予想される。一方preheatingにおいては、カメレオン機構によってインフラトンの有効ポテンシャルが動的に変化するため、この効果の寄与を計算することが重要となる。本研究ではシンプレクティック数値積分法を応用した手法を用いてインフラトン、相互作用する物質場及び計量の摂動の時間発展を追った。この解析結果をもとに、カメレオン機構によるインフラトンの質量の動的な変化が及ぼすpreheatingへの影響について議論する。
- 國見 昌哉 (分子科学研究所)
--- トラップポテンシャルを有する1次元Bose-Hubbard模型の非エルゴード的ダイナミクス, Nonergodic dynamics of the one-dimensional Bose-Hubbard model with a trapping potential
本研究ではトラップポテンシャルを有する1次元Bose-Hubbard模型のユニタリー時間発展を厳密対角化法と行列積状態を用いて解析した。特に、オンサイト相互作用が大きい領域では、長時間熱平衡化が起きない非エルゴード的なダイナミクスを示すことがわかった。また摂動論を用い、相互作用が大きい領域を記述する有効スピン模型を導出した。この有効模型を用い、元の模型では数値計算困難なより長時間のダイナミクスの解析を行い、エンタングルメントエントロピーが時間の対数で成長する領域を見出した。
- 真辺 幸喜 (慶大理工)
--- 冷却Bose-Fermi混合原子気体における複合分子間相互作用, Effective interaction between composite Fermi molecules in a strongly-interacting Bose-Fermi mixture : Exact few-body analysis and its implication
近年,冷却Bose-Fermi混合原子気体と2フレーバーQCD多体系との間の(ダイクォーク描像に基づいた)アナロジー,および,これを用いた量子シミュレーションが提案され注目を集めている[1].本発表では,この提案において特に重要な役割を果たす「複合B+F分子」間の有効相互作用を,(B+F)-(B+F)4体問題の範囲で厳密に解析する.特に,先行研究[1]で取り扱われなかった相互作用レンジパラメータの重要性を指摘し,レンジパラメータの値に依存して冷却原子気体特有の4体共鳴現象が現れることを示す.
また,このレンジパラメータの重要性を踏まえ,Bose-Fermi多体T行列理論を有限レンジ相互作用に拡張した結果を示す.これら少数系解析・多体系解析の結果を総合し,[1]で提案された量子シミュレーションがどのように修正されるかを議論,
(a)[1]での冷却B-F気体-2フレーバーQCD対応がよく成り立つ領域
(b)当該アナロジーが成立せずむしろ冷却原子系に特有の量子多体現象が現れる領域
を特定する.
[1] Maeda, Baym, Hatsuda, Phys. Rev. Lett.103,085301(2009):この提案の骨子は,(A)「原子」が支配的自由度である領域で起こるBose原子BEC(→ダイクォーク凝縮)相,(B)B-F間引力が強く「複合Fermi(=B+F)分子」が支配的自由である領域で起こるFermi分子超流動(→ハドロン超流動)相,との間に期待される量子相転移と2フレーバーQCDで期待されるクォークハドロン相転移の類似性である.特に,(B)での複合分子超流動の実現のためには,B+F分子間に引力が作用することが不可欠となる.
- 杉山 祐紀 (九州大学)
--- ジョルダンフレームとアインシュタインフレームにおける1ループ有効ポテンシャルの差異, The difference of 1-loop effective potential between Jordan frame and Einstein frame
重力と非最小結合したスカラー場は弦理論などの理論から自然と発生し、繰り込みの観点からしばしば注目されている。このように重力と非最小結合する描像はジョルダンフレームと呼ばれている。また、現在よく知られている重力理論を記述するアインシュタインヒルベルト作用だけで表される系はアインシュタインフレームと呼ばている。
これらのフレーム間を関係づける変換としてワイル変換が存在し、古典論のレベルでは厳密に一致することが知られている。
一方で、量子論のレベルでの一致は非自明であり、これまでにも多くの議論がなされてきた。本研究では、スカラー4乗で自己相互作用するスカラー場と重力の結合を考え、各フレームでの1ループ有効ポテンシャルを求め、アインシュタインフレームでの有効ポテンシャルをジョルダンフレームに戻し、それらの差異について議論する。
- 曽我部 紀之 (Institute of Modern Physics)
--- 単フレーバーQCDにおけるカラー超伝導のトポロジー, Topological aspects of color superconductivity in QCD with one flavor
カイラリティの異なるカイラルフェルミオンの超伝導ペアはその超伝導ギャップがBerryモノポールで特徴づけられた節を持つことが知られている。本研究ではこのLiとHaldaneの議論を単フレーバーQCDにおけるカラー超伝導の場合に拡張する。特に、基底状態であるカラー・スピン・ロッキング相では、そのカラー構造に起因して、従来の議論にはないBerryモノポールで特徴づけられたギャップレス準粒子が現れることがわかった。また、ここでの発見から、対称性に基づく従来のクォーク・ハドロン連続性への帰結についても議論する。
- 石崎 未来 (東京大学 理学系研究科)
--- 量子オットーサイクルの非マルコフ・ダイナミクスと仕事の取出し過程の解析, An analysis of non-Markovian dynamics and work extraction processes of quantum Otto Cycle
量子リソースによる熱の効率的な利用を検討するという観点から、熱機関を量子的に拡張した量子熱機関の効率の算出を行なった。熱の吸収・放出過程においては、従来はマルコフ近似を用いて研究が進められてきたが、非マルコフ的にダイナミクスを記述することで、通常の熱の流れとは異なる振舞いが見られることが指摘されている[1]。本研究においては量子熱機関が物理的に作動可能なパラメータ領域において、非マルコフ的な記述方法特有の振舞いが見られることを確認し、その熱効率への影響を議論する。
また、量子系がなす仕事は、従来はハミルトニアンの変化に対する量として算出されていたが、仕事を受け取る量子系を仮定し、量子測定により仕事を定量化する手法[2]を本モデルにも適用し、仕事の取り出しの過程がモデル化できることを確認した。一方で、熱の吸収・放出過程においてダイナミクスを非マルコフ的に記述した場合、熱浴とシステムの間に引力が働くことが問題点として指摘されている[1]。本研究では、両者の切り離しのための仕事についても定量化した。
[1] Y. Shirai et al., Phys. Rev. Research 3, 023078 (2021). [2] M. Hayashi, H. Tajima, Phys. Rev. A. 95, 032132 (2017).
- 南川 拓哉 (名大)
--- パリティ二重項模型を用いたクォークハドロンクロスオーバー領域におけるカイラル凝縮, Chiral condensate in crossover region with using a parity doublet nuclear model
核子質量の構成要素として、カイラル対称性の破れに付随する質量とカイラル不変な質量が存在することが知られている。我々はハドロン物質の模型としてパリティ二重項模型を用いてクォーク物質とクロスオーバーする状態方程式を構成し、中性子星の観測データからカイラル不変質量を制限した。今回はHellmann-Feynmanの定理を用いてクロスオーバー領域でのカイラル凝縮を計算し、その結果を従来の線形密度近似や相対論的平均場模型による結果と比較する。
- 西村 健太郎 (慶應義塾大学)
--- カイラル物質における重力場の不安定性, Instability of the gravitational field in chiral matter
右巻き粒子と左巻き粒子の粒子数に差があるようなカイラル物質では、電磁場は不安定性を持つことが知られており、カイラルプラズマ不安定性と呼ばれる。本研究では、Einstein方程式を線形近似した際にgravitoelectromagnetismと言うMaxwell方程式の類似物に帰着されることに着目し、重力場の不安定性を議論する。
- 溝口 卓哉 (鳥羽高専)
--- LHCのBose-Einstein相関はτmodelで説明可能か?, Can the Bose-Einstein correlations at the LHC be explained by the τ model?
LHCの粒子生成過程には、ND、SD、DDの3過程が含まれている。これらの3過程のデータから、Bose-Einstein相関データが抽出されている。Csorgo達は、1次元安定化分布理論(Levy確率過程)に基づいて、τmodelを提唱・解析した。しかし、上記の様に3過程がある場合には、異なる視点が必要の様に見える。我々が提唱している第2慣習model(CFII×LRC(長距離相関:OPALで採用したform))或いは、拡張型τmodelでの解析を報告したい。我々の推定値は、CMS BEC、9 TeVで、R_1(Exponential)=3.18±0.03 fm、R_2(Gaussian)=0.617±0.004 fm、χ^2=287である。
- 松本 信行 (理研BNL)
--- 世界体積焼き戻しレフシェッツ・シンブル法と統計解析法, Worldvolume tempered Lefschetz thimble method and its statistical analysis method
有限密度QCDをはじめ数々の興味ある物理系において符号問題がモンテカルロ計算の適用を阻んでいる。この符号問題の解決に向け、我々は「世界体積焼き戻しレフシェッツ・シンブル法」(worldvolume tempered Lefschetz thimble法 (WV-TLT法))を提案した[Fukuma-NM 2012.08468]。このアルゴリズムではグラディエント・フローによる積分面の変形を考え、この変形の下で積分面が掃く空間(積分面の世界体積)上でハイブリッド・モンテカルロ計算を行う。本ポスターでは、WV-TLT法の説明および本アルゴリズムにおける統計解析法[Fukuma-NM-Namekawa 2107.06858]について論じる。
- 古城 徹 (Central China Normal University)
--- Stiffening of matter in quark-hadron continuity, Stiffening of matter in quark-hadron continuity
We discuss stiffening of matter in quark-hadron continuity. We introduce a model that relates quark wavefunctions in a baryon and the occupation probability of states for baryons and quarks in dense matter. In dilute regime, the confined quarks contribute to the energy density through the masses of baryons, but do not directly contribute to the pressure, hence the equations of state are very soft. This dilute regime continues until the low momentum states for quarks get saturated; this may happen even before baryons fully overlap, possibly at density slightly above the nuclear saturation density. After the saturation the pressure grows rapidly while changes in energy density are modest, producing a peak in the speed of sound. If we use baryonic descriptions for quark distributions near the Fermi surface, we reach a description similar to the quarkyonic matter model of McLerran and Reddy. With a simple adjustment of quark interactions to get the nucleon mass, our model becomes consistent with the constraints from 1.4-solar mass neutron stars, but the high density part is too soft to account for two-solar mass neutron stars. We suggest interactions that leave low density equations of state unchanged but stiffen the high density part.
- 西村 透 (阪大理)
--- カラー超伝導の臨界温度周辺におけるレプトン対の異常生成, The anomalous production of dileptons near the critical temperature of color-superconductivity
QCD相図上の低温・高密度領域にはカラー超伝導(CSC)という状態の存在が理論的に知られている。しかしその存在を確証づける実験結果はなく、実験手法についてもほとんど議論されてこなかった。本研究では重イオン衝突実験におけるCSC観測の問題点を回避するべく、ダイクォーク相関モードに由来するレプトン対生成過程に焦点を当てる。この過程を議論するために金属超伝導理論でよく知られているAslamazov-Larkin項・Maki-Thompson項・DOS項という光子自己エネルギーに注目し、これらを解析することで単位時間・体積あたりのレプトン対生成率を計算する。本発表では、ダイクォーク相関モードが低エネルギー領域のレプトン対生成量に与える影響やそれぞれの項の役割、得られた結果の重イオン衝突実験における観測可能性について論じる。
- 藤本 悠輝 (東大理)
--- Deconfining Phase Boundary of Rapidly Rotating Hot and Dense Matter and Analysis of Moment of Inertia, Deconfining Phase Boundary of Rapidly Rotating Hot and Dense Matter and Analysis of Moment of Inertia
重イオン衝突で生成される高温高密度のハドロン物質の相図に対する回転の効果を論じる。回転の効果によってカイラル転移の転移温度が押し下げられることは大方のコンセンサスである。一方で、非閉じ込め転移については、転移温度が上がるということが近年の格子QCD計算によって示唆されており、その解釈をめぐってはいまだに議論が紛糾している。我々はハドロン共鳴ガス模型 (Hadron resonance gas model) というパラメタフリーの模型を用いて、非閉じ込め転移の温度が押し下げられることを確認した。また、ハドロン物質の圧力の動径方向依存性や慣性モーメントを定量的に評価する方法を論じる。
- 下地 寛武 (広大院理)
--- Massive Gross–Neveu 模型における有限サイズ効果, Finite-size effect in massive Gross–Neveu model
QCD 相構造に関する研究において、離散的カイラル対称性の自発的破れを記述できる簡単な模型、Gross–Neveu 模型が用いられることがある。我々はこれまでに、有限温度と有限化学ポテンシャルだけでなく、空間をS^1 コンパクト化しU(1)値境界条件を課した系においてGross–Neveu 模型を解析してきた。今回はより現実的な系を取り扱うことを念頭に、質量項を加えての解析結果を紹介する。