万有引力により質量を持った物質の同士は引き合います。質量Mを持った物質と質量mを持った物質の重心が距離rだけ離れているとすると、お互いに引き合う力の大きさは、
(ニュートン定数 G)×M×m/r2
です。rが大きくなればなるほど引力は弱くなります。このような力が働くとき、地球から打ち出された物質はどのような運動をするのでしょうか?地表に接する方向に物質を打ち出してみましょう。
rを小さくしていくと何が起きるのでしょう。上の式をそのまま使うと引力がどんどん大きくなってしまいます。引力は際限なく強くなり続けるのでしょうか?rを小さくしていくと、いずれ物質同士が重なってしまいます。本教材の場合は、緑の球が地中に埋まってしまいます。このとき、地表近くの物質は引力に寄与しなくなります。地球の重心から半径rの球よりも外側にある質量からの引力は相殺するのです。地球の半径をR、質量をMとして、地球内部の質量分布が完全に一様であるとすると、rがRより小さくなったとき、引力に寄与する質量は
M×(引力に寄与する部分の体積)/(地球の体積)=M×r3/R3
となります。(緑の球の半径はrより大きいとしています。)つまり、引き合う力の大きさは、
(ニュートン定数 G)×M×r3/R3×m/r2
=(ニュートン定数 G)×M×r×m/R3
となって、rが小さくなっても際限なく大きくなるようなことはありません。
本教材では地球が静止した系で、地表から打ち出した物質の運動を眺めています。これは、慣性系ではありませんから運動量が保存しません。慣性系をとった場合については、下記の比較にある教材を参照してください。
地球の中心から緑の球中心までの距離と球の速度には何か関係があるでしょうか?
慣性系をとった場合には何が変わるのでしょう?
次の教材と比較してみましょう。
1.6 2体問題:
慣性系で現象を眺めましょう。
1.7 衝突する粒子:
球をもう一つ増やしてみると?