1.2 はずむボール

地面ではずむボールを観察すると、ボールは徐々にはずまなくなります。 この現象は「はねかえり係数」というボールと地面の性質に関係した物理量で表すことができます。

ある物体が静止した地面もしくは壁に衝突する現象を考えましょう。 衝突により地面もしくは壁が動き出すことは無く、また、 物体が2つ以上の物体に分かれる事は無いものとします。 このとき、衝突する物体の衝突前の速さと衝突後の速さの比をとったものを 「はねかえり係数」と呼びます。 つまり、はねかえり係数 e は、
(はねかえり係数 e)= (衝突後の速さ v')/(衝突前の速さ v)
で与えられます。

このはねかえり係数 e が1よりも小さい場合、物体のエネルギーは衝突の度に失われていきます。 これを非弾性衝突と呼びます。物体の持つ運動エネルギーは保存しません。 また、e=1 の場合は(完全)弾性衝突と呼ばれ、運動エネルギーが保存します。

本教材では、四方の壁の「はねかえり係数」を操作して、ボールの軌跡を追っていくことができます。

視点

以下の視点で教材を眺めましょう。
はねかえり係数が1より小さい場合:
衝突する床(壁)に対して並行方向、垂直方向それぞれの速さは、衝突の前後でどう変化しますか? 速度ベクトルを表示して観察しましょう。 (「停止」ボタンを押すと、コマ送りができます。)
重力がある場合:
はねかえったボールが上がる高さとはねかえる前の高さとの差は はねかえり係数と関係があるでしょうか?

問い

衝突の前後でのエネルギーの変化ははねかえり係数と関係ありますか?
はねかえり係数とボールの上がる高さの関係を計算してみましょう。
はねかえり係数を1より大きするとどうなりますか?