1.1 重力と運動

ここでは、地上で重力が質量を持つ物体の運動に与える影響について考えます。 質量を持つ物体には重力が働きます。これにより、地上では物体は鉛直下向きの加速度 g を受けます。g の大きさは約9.8m/s2です。

エネルギーは、時間が経過しても変化しない保存量です。真空中で運動する質点のエネルギーは運動エネルギーと位置エネルギーの和で表すことができます。重力の効果が無い場合は、質点の持つエネルギーは運動エネルギーは、
(1/2)×(質量 m)×(速さ v)
となります。重力の効果が入ると、これに位置エネルギー
(質量 m)×(重力加速度 g)×(高さ h)
が加わります。

本教材では緑の球が壁に衝突した際、壁とエネルギーを交換して球の持つエネルギーが変化することは無いとしています。また、球同士が衝突することは無い、つまり、互いに相互作用をしないとしました。このため、それぞれの緑の球が持つエネルギーが保存します。

視点

以下の視点で教材を眺めましょう。
重力効果が無い場合:
運動エネルギーが保存するため、それぞれの球が持つ速さは変化しません。 球が進む向きはどうですか?
重力効果を入れた場合:
運動エネルギーと位置エネルギーの和が保存するということは、球が上がれば上がるほど速さが遅くなり、下に落ちてくると速くなります。重力加速度は鉛直下向きです。このため速度の横向き成分に対しては重力の影響はありません。横向きに進む速さは変わらないのです。
重力効果を変える:
途中で重力効果を無くすと、その後は、運動エネルギーが保存するため速さは変化しません。再度、重力効果を入れたとき、何が起きるでしょう?エネルギーは、最初から保存していますか?

問い

落ちてきたときの速度はいつも同じですか?
実際にボールを投げたときとの違いは何ですか?
重力加速度を変えると何が起きるでしょう?

比較

次の教材と比較してみましょう。
3.1 運動と温度: 壁に衝突した際に壁とエネルギーを交換します。
3.2 衝突する粒子: 球同士が衝突してエネルギーを交換します。